☆庭球部屋☆
□幸せのBouquet
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街へ繰り出してから、まだ1時間。
今日は時間に余裕があるし、自分好みの店をゆっくりと探そうと計画していた。
「可愛い〜vv」
「やっぱ憧れるよね!」
女の子の黄色い声が聞こえて、オレは通り過ぎようとした店の前で足を止める。
二人の女の子が張り付くようにして見ているウインドウの中、そこはまるで別世界…
「…綺麗…」
男には分からない物だと思ってた。
だって着るのは女の子だし。
でも、オレの目にはそこだけが切り取られたように輝いて見える。
純白のドレス・フワフワのレース・可愛いアクセサリー・綺麗な靴・色とりどりのブーケ
硝子を散らしたようにキラキラと輝くウエディングドレスがそこにはあった。
一生着ることはない。
着せてあげることもない。
オレにはアイツだけだから…
でも憧れてしまうのは、それだけ"結婚"という繋がりが、羨ましくて悔しくて。
女の子になりたいワケじゃないけど、やっぱり好きな人との結婚は憧れるよな…
ウエディングドレスの隣には新郎用のスーツも何着かあって、アイツに似合いそうなヤツを無意識に探す。
想像した姿があまりに似合い過ぎて、クスクスと笑いが漏れた。