☆庭球部屋☆
□あの日の約束
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流れる窓の外は真っ暗で、なんだかワクワクした。
こんな時間に君と外にいる。
眺めた横顔は車内のライトに明るく照らされて、楽しそうにパンフを見ている。
「お腹減ってない?」
「大丈夫っス!ホテルまで我慢したら美味しい料理ありますから」
「そうだね」
いつになく明るい声に、今日という日を楽しみにしていたんだと分かる。
俺は先月の海堂の誕生日に、テーマパークの宿泊券とフリーパス券を2泊3日分送った。
さすがに自腹ではなく、たまたま応募した雑誌の広告に当選しただけなんだけど…
それでも海堂は喜んでくれた。
そして1週間ほど前の自主練で、海堂は俺に2日からの予定を尋ねたのだ。
『もし良かったら、2日から行きませんか?あの当選してたテーマパーク…』
俺はお互いの家でない、初めての海堂と二人きりの外泊に、なんとも言えない高揚を感じて返事をした。
そして現在に至る。
電車の中、テーマパークとホテルのパンフを交互に読み、時々俺に話し掛ける海堂。
そんな海堂を見て、俺は顔が緩むのを抑えられないでいた。
「ね、海堂」
「なんスか?」
「この3日間は薫って呼んでいい?」