☆庭球部屋☆

□一人じゃない!
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一人でコートに立ってみた。

広がるコートに風が吹いて、俺の髪を揺らす。

目を閉じると、さっきまでココにいた仲間達の姿が鮮明に蘇ってきた。



俺は頂点に立つ男。

全てを手に入れる力を持つ男。

俺がこんなになれたのは、きっとお前の御蔭だと、心の奥ではそう思ってる。

言わなくてゴメンな?
言えなくてゴメンな?

似合わないから言わないけど、本当は言いたいんだよ。

"有難う"って…



お前がいてくれて良かった。



「跡部さん?」


静かなコートに声が響く。

俺の背中に向かって。


「樺地か?」

「ウス」


暗い視界に写る巨体は、俺に一歩ずつ近づいて来る。

背中には2つの荷物を乗せて…


「今行く」


俺が足を向けるとピタリと止まる。

あぁ、お前がいるだけで安心出来るよ。

こんな暗いコートで一人きりでも、お前がいてくれたら何にも怖くない。


「今日は歩いて帰ってもいいか?」

「ウス」

「寄り道、してもいいか?」

「?遅くなりますよ?」

「大丈夫だ…お前も来いよ」

「…ウス!」


素直なお前は少し神経質で。

でも俺の言うことだけは、何があっても受け止めてくれる。
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