☆庭球部屋A☆
□一番綺麗な景色
2ページ/7ページ
どこを見ても目に入るイルミネーションは、クリスマスだからだ。
「寒…」
「もうちょい、コッチおいで?」
少し繋いだ手を引くと、俺の肩に押し付けるように額を寄せてきた。
いつからだろう?
こんなに海堂が素直になったのは。
「平気?」
「っス」
最初は街中で手を繋ぐなんて、海堂にとっては有り得ないことだった。
でも、あれから5年。
もう二人でいることが普通になっている。
離れている方が、不自然に思える。
「あ、Mail?」
ぴったりと寄せていた身体を突然離すと、海堂は慌ててポケットに手を入れた。
「英二先輩?」
「英二か…何だって?」
「"今アーケード中央にいるよ!皆一緒だから、海堂達も来ない?"って」
「海堂にMailした方が確実だって思ったんだな」
俺にしたら無視されるかもしれないから。
「どう、しましょっか」
上目遣いで見るなよ。
"行きたい"って、素直に言えばいいだろ?
「アーケード中央って、中央広場のことだろ?確かあそこ、大きなツリーがあったよな」
「?」
「せっかくのクリスマスなんだし、ツリーくらい見に行ってもいいだろ」
海堂の顔が輝いた。