☆庭球部屋A☆
□バレンタイン・ドリーム
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◎乾海◎
隣でソワソワ。
そんな可愛い君を、俺はワクワクしながら見つめていた。
去年は俺がチョコをあげた気がする。
海堂はバレンタインなんて興味なかったみたいで、ポカンとした顔でそれを受け取った。
ホワイトデーに真っ赤な顔で御礼とお詫びをもらったこと、今でも鮮明に覚えてる。
「せ、先輩」
少し上擦った、緊張の声。
デレデレとした自分の顔を戻しながら、俺は静かに肩を抱いた。
「コレ…あ、あの…///」
「俺にくれるのかな?…ん、あれ?」
海堂が好きな、人の良さそうな顔で笑って、大事に受け取った小さな箱。
そのいびつな包装に、俺はたった10%の確率を弾き出した。
昨日、"まさかな"と思いながらも加えてしまった10%。
「海堂の、手作り?」
あの恥ずかしがり屋な海堂が、俺のために?
「………っス」
風に消えてしまいそうな小さな声が、俺の心臓を大きく揺らす。
幸せって、こういうことか?
「有難う」
いつもより、沢山沢山優しい俺になってあげる。
何回でも惚れてもらうために、俺は愛してあげる。