☆庭球部屋A☆
□バレンタイン・ドリーム
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「有難う、海堂」
一瞬、暖かな風が俺達の間をすり抜けて、海堂の体重が俺に掛かる。
「大好きだよ…大好きだ、薫…」
味わいたい。
この甘い空気をいつまでも…
「先輩」
寂しそうな海堂の目に、俺は笑って頷いてやる。
「大丈夫、来月は薫のために空けておくから」
一学年の年の差は、大きな不安を海堂に与えるから。
だから俺が安心に変えてあげなきゃいけない。
「…先輩…」
フワリと笑ってくれた君に、とびきり甘いキスを送る。
どうか来年も、甘い香りに包まれていますように…