☆庭球部屋A☆

□幸せになって
2ページ/8ページ

いつものように家のドアを開けたら、アイツが満面の笑顔で犬みたいにオレを待ってた。

いつもと変わらないその景色に慣れてしまったオレは、きっとコイツなしじゃ寂しいと感じてしまうだろう。


「おはようございます、宍戸さん!」

「はよっ、長太郎」


学校に向かう一歩一歩が、まるで会話の合図みたいだ。

尽きない話題に涙目になる程笑って、気付いたら部室なのが日常。

でも今日は…


「なっ……!?」


なんなんだ、校門にいる人混みは!?!?


「宍戸さん、潰されちゃいますよ?こっちです」

「はぁ?」


慣れた様子でオレにウインクをかまし、向かった先は裏門でもなく、ただの垣根。


「宍戸さん、毎年あの集団に突っ込んでたんですか?通りでチョコの数が多いと思った…」


渋い顔でそう言って、垣根の一部に手を突っ込む。

怒ってる?


「ほら、ココが今日限定の出入り口です♪跡部さんが作ったんですよ?」


オレの不安を余所に、長太郎は豪快に垣根を引っ張った。


「ま、マジ?」


そこに現れた金格子の扉に、オレはただただ呆れ驚くばかりだった…

教訓:本気の女は怖いから、本気で逃げろ!
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ