☆庭球部屋A☆
□幸せになって
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いつものように家のドアを開けたら、アイツが満面の笑顔で犬みたいにオレを待ってた。
いつもと変わらないその景色に慣れてしまったオレは、きっとコイツなしじゃ寂しいと感じてしまうだろう。
「おはようございます、宍戸さん!」
「はよっ、長太郎」
学校に向かう一歩一歩が、まるで会話の合図みたいだ。
尽きない話題に涙目になる程笑って、気付いたら部室なのが日常。
でも今日は…
「なっ……!?」
なんなんだ、校門にいる人混みは!?!?
「宍戸さん、潰されちゃいますよ?こっちです」
「はぁ?」
慣れた様子でオレにウインクをかまし、向かった先は裏門でもなく、ただの垣根。
「宍戸さん、毎年あの集団に突っ込んでたんですか?通りでチョコの数が多いと思った…」
渋い顔でそう言って、垣根の一部に手を突っ込む。
怒ってる?
「ほら、ココが今日限定の出入り口です♪跡部さんが作ったんですよ?」
オレの不安を余所に、長太郎は豪快に垣根を引っ張った。
「ま、マジ?」
そこに現れた金格子の扉に、オレはただただ呆れ驚くばかりだった…
教訓:本気の女は怖いから、本気で逃げろ!