☆庭球部屋B☆
□カタチにしなくても
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それは相変わらず誰彼構わずスキンシップを取っていた英二にイライラしていた頃。
見るからに不機嫌そうな微笑みを浮かべた不二に言われた。
「あのね、惚気話なら二人でしてくれない?」
俺が理解出来ずに首を傾げると、不二の笑顔に深みがさす。
「いい?同じクラスで席も近くて、オマケに同じ部活。確かに僕らは親友だよ?」
早口の不二はキレ掛けてる証拠だ。
いつ間に入ろうかと、数メートル先でタカさんがオロオロしてる。
「だからってねぇ、毎日毎日似たような惚気話を聞かされて、君には嫉妬の対象みたいに睨まれて…」
そこでようやく俺は不二の怒りの理由に気付く。
慌てたところで、もう遅い。
「僕って報われないよねぇ、大石?」
胃の痛みが最高潮に達した頃、ようやくタカさんの助けが入って難を逃れた。
「た、助かった…」
というか怖かった。
そんな俺の元に、何にも知らない英二が心配そうに寄ってきた。
「どったの、大石ぃ?不二、怖かったねぇ」
原因は英二だけど、俺がソレを言えるはずもない。
小さく溜め息をつくと、俺は英二に聞いた。
「なぁ英二、今日さ、不二に俺の話した?」