☆庭球部屋B☆
□笑顔の理由
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その日の夕方、俺は河原の近くでストレッチをしていた。
部活が終わってすぐに送ったMailを、宍戸さんが気付いてくれていることを願って。
「おいコラ、長太郎!」
「あ!宍戸さぁんvv」
「ばっか!コラ、引っ付くなって…///」
覆い被さった俺の胸を必死に押し戻しながら、宍戸さんは当たり前のように言った。
「んなことしてねぇで、さっさと帰っぞ!!」
「へ?」
ビックリした。
だって、さっきのMailには『テニスしましょうよ』って、いつも通りの文面しか送ってないはずなのに…
「ったく…お前は分かりやすいんだよ」
マヌケな顔になった俺が可笑しいのか、宍戸さんは笑いながら俺の鼻を指で押した。
「会いたいって、素直に言えよ。言ったろ?我儘は許すって」
「宍戸…さん」
今度は押し戻されなかった。
抱き締めた俺の背中を子供をあやすように撫でて、宍戸さんはまた笑った。
「全然迷惑じゃねぇよ…急に気遣われる方が迷惑だ」
なんでこの人は分かってくれるんだろう?
だからまた、好きになる。