☆庭球部屋B☆

□笑顔の理由
4ページ/8ページ

その日の夕方、俺は河原の近くでストレッチをしていた。

部活が終わってすぐに送ったMailを、宍戸さんが気付いてくれていることを願って。


「おいコラ、長太郎!」

「あ!宍戸さぁんvv」

「ばっか!コラ、引っ付くなって…///」


覆い被さった俺の胸を必死に押し戻しながら、宍戸さんは当たり前のように言った。


「んなことしてねぇで、さっさと帰っぞ!!」

「へ?」


ビックリした。

だって、さっきのMailには『テニスしましょうよ』って、いつも通りの文面しか送ってないはずなのに…


「ったく…お前は分かりやすいんだよ」


マヌケな顔になった俺が可笑しいのか、宍戸さんは笑いながら俺の鼻を指で押した。


「会いたいって、素直に言えよ。言ったろ?我儘は許すって」

「宍戸…さん」


今度は押し戻されなかった。

抱き締めた俺の背中を子供をあやすように撫でて、宍戸さんはまた笑った。


「全然迷惑じゃねぇよ…急に気遣われる方が迷惑だ」


なんでこの人は分かってくれるんだろう?

だからまた、好きになる。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ