☆庭球部屋B☆
□ギャップ
2ページ/10ページ
ちょっと面倒臭い。
表面はそういう表情を作ってるけど、内心ではガッツポーズ付きで『ラッキー!』って叫んでる。
確かに同じクラスだし、一番に誘ってくれるのは当たり前だ。
でも、東方より先だったことが嬉しい。
たったそれだけのことが嬉しい。
千石清純、南健太郎に目下片想い中です!
ニヤニヤしてたらあっという間に放課後。
グラウンドから野球部とサッカー部の掛け声が聞こえてくる頃に、オレと南は教室を出た。
「ラケット、持ってないだろ?」
「貸してくれんの?」
「誘ったの俺だしな」
「ラッキー♪」
「おいおい、そんなにテニスしたかったか?つか、部活やってた時より張り切ってね??」
「ははっ、気のせいだって☆」
「ったく…」
他愛もない会話。
こんな時思う。
男で良かった〜ってさ。
そうじゃなきゃ、照れ屋な南が笑いながら会話なんてしてくれない。
「あれ、東方は?」
「ん?東方も誘ったのか??」
「え…南、誘ってないの?」
ちょっとちょっと、え、マジで!?!?
「千石?」
不思議そうな顔で、南が狼狽えるオレを覗き込んだ。