☆庭球部屋B☆
□君に惚れたワケ
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「不二!」
「あ、タカさん!!」
数メートル先から手を振ってくれる長身に、僕の心音が早くなる。
無意識に握り締めた拳に苦笑いして、僕の隣へと収まったタカさんを見上げた。
「慣れないなぁ」
「何が?」
「ん?待ち合わせ」
待ち合わせの時間が近付くほどに緊張が増すのは、初めてデートした日から変わらない。
「僕、未だに緊張してるもん」
「…だったらさ、待ち合わせ止めない?」
「え?」
一瞬、僕とデートするのが嫌になったんじゃないかと不安になったけど、見上げた顔が優しくて思考が止まった。
タカさんの大きな手で髪を梳かれて、嬉しくて笑う。
「ずっと思ってたんだよね…待ち合わせしたら不二の方が早く着いちゃうなって」
「それは僕が浮かれて…」
「あ、それは嬉しいんだよ?ただ、ちょっと心配なんだ」
「心、配?」
気まずそうなタカさんの苦笑い、実は好きだったりする。
あ、全部好きなのかな、結局。
「不二、自分がモテるの解ってるよね?女の子に間違われるのも」
「まぁ、ね」
嫌みのないタカさんの言葉には素直に頷ける。