☆庭球歌劇部屋☆

□優しい君へ
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「あ、電気ついてる!もう帰って来てるんだ…」


見上げたマンションの一室。

珍しく俺が来る前についていた電気に、心が暖かくなる。


「今日のメニューはキメちゃん特製カルボナーラ海老風味♪」


言いながらも笑顔が漏れる。

だって、阿部βが俺の帰りを部屋で待っていてくれてる。

『おかえり』って言ってくれる。

それって幸せじゃない?


「そうだ!」


気まぐれの思いつき。

俺の専売特許。

携帯を取り出して、着信履歴を開くと、一番最初に出てくる名前に電話をかける。


「…あ、阿部β?キメだけど、もう少しで着くよ♪」


こう言うと阿部βは、


『今どこらへん?』


って聞いてくる。


「マンション見える公園」

『荷物重いでしょ?迎えに行くから待ってて!』


答えた俺に、阿部βはそう言って電話を切った。

阿部βは優しいから、いつも俺のことを考えて行動してくれる。

でも、俺は既に玄関の前。

はい、嘘つきました☆

ドアを一枚挟んだ向こうから、こっちに近づいて来る足音。

俺はドアにぶつからないように離れると、ドアが開くのをひたすら待った。
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