☆庭球歌劇部屋☆
□手のひらに雨
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太陽が出て、暑くなってきた家の中から逃れるように飛び出して約30分。
太陽は隠れ、薄く覆う雨雲から雨がポツポツと降って来た。
草太がため息を吐くと、直也は冷汗を流した。
「なんで直也と出掛けたら雨が降るかな?」
草太は再度、呆れたように直也を見上げた。
「そんなん言うたって、好きで降らせてるワケちゃうし、俺のせいやないやろ?ι」
「そんなこと分かってるよ。…はぁ〜、久々の休日なのに」
ワザと直也に聞こえるように独り言を呟くと、草太はズンズン進んで、雨宿りのためにコンビニに入った。
そんな草太の後を慌てて追い掛けると、直也はコンビニの手前で止まり、フッと目を細めた。
「直也?」
コンビニに入らない直也に気付き、草太が声を掛ける。
そんな草太の声も聞こえていないように、直也はゆっくりと歩き出した。
「え?ちょ、直也!どこ行くのさ!」
草太は焦った。
ちょっと言い過ぎたかもしれない、怒ってしまったかもしれない、と。
急いで直也の後を追うように雨の中に駆け出し、途中でピタリと足を止めた直也に安堵しながらシャツを掴む。
見上げた直也の顔は、優しそうに、しかし、歪んでいた…