「何だよこれ…動きにくい」
真選組、鬼の副長と言われる土方十四郎が身に纏っているのはいわゆる『婚礼の儀』に相応しい黒の紋服の袴
「土方さんなんてまだいい方でさァ…俺なんて」
そういう総悟の方に目を向けると清楚な色の留めそで。着物と格を合わせるように袋帯を二重太鼓に結んで、しかも末広(扇子)までもが帯の左わきにはさんであった
「ここまで完璧にされると怒る気も失せまさァ…動きにくい」
「………」
ブツブツ言っている総悟を横目で見つめる
冷静になって見てみるとそれはとてもよく似合っていた
本人に言ったらぶった切られるだろうが、色の白い肌によく合う色が合わせられておりとても綺麗だった
ほんのり化粧を施されている総悟の姿はいつもより妖濃で美しかった
「…――ん…方さん…」
「………」
「土方さん!」
「狽、おぅ!なっ何だよ!」
気がつくと横にいた筈の総悟が自分の真ん前で少ししゃがんで俺の顔を上目遣いで覗き込んでいた
「さっきから呼んでるでさァ!」
「わっ悪ぃ…ボーっとしてた」
高鳴る心臓を抑えながらサッと顔を逸らした
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