Presents
□些細な事
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見覚えのある正装にシルクハット
見間違えるはずはない―――
「何でティキがここに…?」
その本屋からは離れた所で足を止め、呆然と立ち尽くす
もちろんティキは気づいてる気配もなく、古書を片手に隣の女性と楽しげに会話をしている
「(ティキがいる…偶然でも嬉しいさ…?でも…その隣の女の人は誰さ――?)」
ずっとその光景を眺めていると、段々視界がぼやけてきた
ハッとして自分の頬に手を触れてみると、流れて出ている涙で濡れた
それを悟ると止めどなく流れ出てくる涙を抑えられなくなる
「っく―――!」
気がつくとラビは踵を返して走り出していた
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「あっラビーっ!何してたんですかー、遅刻ですよー?」
「……」
フラフラ歩いているといつの間にかアレンとの待ち合わせ場所に来ていたらしかった
目の前にはみたらし団子であろう袋を両手に抱えてプンスカと怒っているであろうアレンの姿が
「どうせまた本屋で立ち読みしてたんでしょ?まったくラビってば時間をもう少し気にして―――ラビ?」
「…ふっ、ふぇ…ヒック…」
「煤H!ラビっどうしたんですか!!?僕の言い方がキツかったですか?!」
「グスッ…うぅ…ふえぇぇぇ」
「わぁ?!ラビ〜!泣かないでくださいよ〜;僕が悪かったです〜;」
抑えられなくなった涙を流しながらアレンに抱きついたラビ
自分の言い方が悪かったと思い込んであわあわとラビをあやすアレン
はたから見れば、道端でどうどうと彼女に抱きつく彼氏みたいなシチュエーションである
それを遠くから見つめていた人物がいたことをラビはまだ知らない――
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