Presents

好きだから
1ページ/4ページ





「んじゃちょっくら行ってきやす」

「おいコラ総悟!てめぇ行くって何処に行くつもりだ!」

「行ってきやす」

「人の話を聞け!またサボる気か!それに行くって万事屋か?!おいコラ、総悟!」

「行ってきやす」










好きだから


ぎゃあぎゃあ煩い上司を無視してスタスタと屯所を出て行く

11月に入ったというのに照り続ける日中の太陽の光
もう秋なのに…まだこんなに暑いのかと思う
普段なら絶対出歩かない…
涼しい縁側で居眠りしている方が断然いいに決まってる







それなのに今俺は
ある人に会うために…――
その人との約束ためだけに――
太陽で照らされる砂利道を歩いて行った







***********






江戸の町にやってくると
相も変わらず賑やかで、通りを行き交う人々と天人で溢れていた

キョロキョロしながら歩いていると…―――見つけた






とある甘味処の長椅子に座って団子を頬張っている
豪快に足を組み、いつものように腰に挿してある木刀
団子を満足そうに頬張っている割には何の表情もない瞳
急いできたのか時間が無かったのか、いつも以上にボサボサになっている銀髪






けどその銀髪は
太陽の光に照らされて
美しく一際目立って
輝いていた―――








「あれ?総一くん?」









声を掛けられてハッと我にかえると、団子を片手に

「あっやっぱり総一くんだ」

とヘラっと笑ってみせる
それを見て一瞬頬を緩ませると小走りで近づいた









「よぉ総一くん」

「総悟です…、ごめんなせぇ少し遅れやした」

「いんや、全然大丈夫よ?それよりどうかした?ボーッと突っ立ってたけど」

「何でもありやせんぜ?ただ眩しく銀髪が目立ってるなって……さっ、行きやしょう」

「おぅ?!ちょっ総一くん!そんなに急がなくても銀さん逃げないよー?」









次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]