屯所につき渡り廊下を歩いていると、ミシミシと歩く度に木が軋む音がする。
自室への道の角を曲がると、部屋の前で誰かが膝を抱えて座っている姿が目に入った。
月の光に照らされ、サラサラと夜風になびく亜麻色の髪…――。
着物から色白の細い四肢がのぞいている。
「なーにやってんだよ総悟…」
「ん…あっ土方さん、おかえりなさい」
声をかけると、頭を上げたそいつの蘇芳色の瞳と視線が絡まる。
同じ真選組隊長である沖田総悟…――。
少し眠っていたのか、潤んだ瞳をチラつかせる沖田をとりあえず部屋に入れようと細い手首を掴むととても冷え切っていた。
「お前なぁ…待ってるなら待ってるで部屋に入っとけ。体冷え切ってんじゃねぇか」
「土方さんの部屋は煙草臭くて我慢ならねぇんでィ」
「うっせぇ…」
クスッと笑う沖田に高鳴る鼓動を抑えながら、襖を開け部屋に入った。
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