REBORN!corto

□愛を感じて
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「好きです!付き合ってください!」

『・・・・・・ごめんなさい・・・。』


太陽が沈み掛けた黄昏時。
並中で一つの蕾が開花せず散っていった。




落ち込みがちにその場を後にする彼を見送るでもなく、橙色の絶景を見詰めた。


『・・・愛を知らないわたしに、愛を打ち明けても・・・意味がないの。』

ポツリと呟いた言葉は、風と流れる筈だった。



「僕が教えてあげましょうか?」


『!え・・・?』


後ろを振り返ると、パイナップルの髪型をした青年がいた。

・・・・・―――







――キーンコーンカーンコーン――

授業終了と昼食のチャイムが鳴り響き、学校中がざわめきだす。


『・・・』
憐もお弁当を持って、席を立ち上がった。












『いただきます』

昨日告白された屋上で、お弁当を広げた憐は両手を合わせた。



心地良い風が憐の綺麗な黒髪を撫でる。


『気持ちい・・・』

その風に瞳を閉じて、肌を撫でる感触に少しばかりだが嬉しさを滲ませる。




次の瞬間、瞳を開くとそこには。
お弁当のおかずにあった玉子焼きを頬張ろうとする彼がいた。




『それわたしのっ』


「まあ良いじゃありませんか、それよりこれはご自分で作られたんですか?」


『・・・・・・わたし以外に誰が作るの・・・?』
最後に食べようと思ってたのに。

憐は素っ気なく応えながら、箸を動かす。

「物凄く美味しいですよν」




『それより貴方、何故並中に居るの?』

どう見ても制服が黒曜のものだし、並中の生徒じゃない事ぐらいわかる。




「何故とはなんです?貴女に会いに来たのですよ♪僕の愛を教えにν」

『早く並中から出た方が良いわよ。彼が気付いたら大変な事になるから。』


「彼とは?」


『忠告はしたわ。
それと、愛情も恋愛感情も私には必要ない感情だから。』


それだけ言って、お弁当をしまい始める憐。



「・・・」


『そう簡単には愛情を教える事なんて無理よ。愛情なんて物は人それぞれなんだから。』

憐はそのまま骸を残し、屋上を出ていった。





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