最低な、男

□アイシテルから倫理崩壊宣言
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――例えばさ、

ツンとした顔で隣を歩いている旧友のうるさい口塞いで悲鳴押し込んで無理矢理きゃしゃな腕引いて都合良く路地裏に連れ込んで、嫌がる身体壁に押し付けて可愛い唇にあっついキスかましながらそのストイックに決まったスーツ姿を思う存分乱してやりたい。

俺はシチリアの街中で、ボンゴレ本部の廊下で、たった今制裁が終わった敵マフィアのアジトの中で、コイツの隣を歩く度、そんなことを結構な頻度で考えている。



あ、今引いた?

そりゃ「昼飯食いに行くか?」みたいな話しながら俺はそんなこと考えてるんだもん。引くわなー。

自分でも思春期のガキみてぇだとは思うけど、まあ言い訳をさせてもらえば全てはアイツの色気が半端ねぇのが悪いってことで。

あと獄寺の鈍感さが罪ってやつ?

俺、獄寺のことが好きで好きで何千何万回と妄想に花咲かしてんのに、獄寺ちっとも気付いてないみたいだし。ある意味知らぬが仏か。


それにもう、これは一種のクセみたいなもんだ。

中学時代から今現在まで飽きずに続いている、叶うことのない夢。






「……オイ、聞いてんのかよ」


不意に聞こえた獄寺の声で俺は慌てて意識を戻した。

全く集中していない俺を、隣に座っている獄寺は横目で睨んで何事か呟く。

周りを気にしてか、低く唸るその声は酷く聞き取りにくい。



――ああ、腹立たしい。さっきから流れる雑音のせいで、獄寺の麗しく天使のような声が消されてしまったじゃないか…!



内心、前に並んで騒音を発する奴らに殺意を沸きながらも俺は人当たりの良い笑みを浮かべた。

「ワリィ、ワリィ。こーゆーとこって慣れてないからさぁ」

そう言うと獄寺は呆れた顔をして正面に向き直った。

その途端無防備に曝け出される横顔。鼻筋から首元もとにかけて。

滑らかな肌の美しさ。




俺の妄想は、またスタートする。




今、この時、この瞬間、

十字のネックレスを持つ隼人の手を引いて前で騒音を垂れ流す女子供を押し退けて、んで中央の台座に無理矢理座らせてみたりしてさ。衣服剥いで全裸にさせて、グズる隼人の足拓いて善良なクリスチャンの皆さまにハイっ、M字開脚〜こんな大勢の奴らに見られたら隼人絶対感じちゃうよなぁ。ぐずぐずに泣いちゃうかも。それに年少期からの知り合いだっていう牧師に淫乱な隼人の実況中継でもさせてみる?隼人言葉攻めに弱いからすぐへばりそうだけど。そしたら神聖な場所でお仕置き〜罪悪感って流れもアリか。ってか神聖な場所でHしてる時点でもうダメ?あ、そうっすか。
きっと隼人のあまりの美しさにキリストさまもびっくり。背徳感だって堪らない。背筋がぞくっと震えるくらい痺れさせてよ。

……え、禁欲的?アハハ、そんなものクソくらえ。



教会という場所だって、俺にはスパイスにしかならない。







アイシテルから
倫理崩壊宣言


(隼人の痴態に浸るのは、日曜のミサなんかよりよっぽど価値のあることだと思うけど)











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