短いおはなし

□きみに捧ぐラプソディー
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ツナからの「お願い」を断り切れず、泣く泣く長期任務に就いた俺が、イタリアをはなれて約1ヶ月間。

もちろんその間隼人に会えるはずもなく。
隼人に会いたくて会いたくてなんかもう、おれ死んじゃう?!ってなって
無理を言って1本早い飛行機で帰ってきたというのに。

「は、はやと…!!」

鍵を開けて入ったらしーんと静まりかえっていて。電気も何もついてない状況に嫌な予感がしたら、思ったとおり。すでに就寝した隼人の姿があった。


「そ、そんなぁー」

いくらなんでもそれはあんまりだ。
それに俺、今日帰るって電話したよね?隼人も電話ごしに「わかった」って言ったよね?!
しかもちょっと嬉しそうに…!あれはぜんぶ、俺の幻想だったのか?!


いつもは隼人のしたいことを尊重する俺だけど、今はあまりにも隼人が足らなすぎてどうにかなってしまいそうだったから。
怒られるのを覚悟で俺は隼人を起こすことに決めた。


「隼人起きてー!!」

布団を揺さぶると隼人は「んん…っ」と可愛い声をあげた。だけどどうやら逆効果だったらしい。隼人は布団の中に頭まですっぽり入り込み、だんごになったまま出てこなくなってしまった。

「はやと〜!」

でもこんなことじゃ俺はめげない。隼人に会えなかった1ヶ月をおもえばこれくらい、ちっとも苦痛じゃないんだ。

「起きて起きてー!隼人の恋人がようやく帰ってきたんだぜ?!」

言いながら布団の山にいきおいよく抱き付く。下から「…う゛っ?!」と声がしたかと思ったら、おもいっきりグーで殴られた。(…!!)

「いってー!!」

ちょっ、それはいくらなんでも酷いんじゃねぇの?!

「…重いんだよこのバカ」

むくっと顔を出した隼人は寝起きで不機嫌そうに口を尖らせた。

「だってさぁ〜」

隼人は俺に会いたくなかったの?!
俺がそう言うと無表情に「別に…」と返された。


……き、聞きました奥さんっ!?


別にって、別にってそんな!!
俺は離れているあいだ、ずっとずっと隼人のことを考えていたし、ときには夜も眠れなかったくらいなのに。

「だって武のこと、わすれてたし…」

衝撃的な隼人の言葉に、俺はたおれてしまいそうだった。


半分夢見心地でぼーっとしていた隼人は「なのに、」と小さくもらした。

「電話のせいだ…」

「電話?」

聞き返すと隼人がこくんとうなずく。
寝起きの隼人は不機嫌でかわいげがなくて、でもそんな彼はすっごく無防備ですっごくかわいい。

「お前が、」

「オレ?」

「そう。お前がそばにいないこと、忘れてたのに。おもいださせやがって」

そう言って隼人はきゅっと口をつぐむ。

「――隼人?」

「おまえ、電話でいつごろ帰るか言わなかっただろ」

目を伏せる隼人の瞳は見えなかったけれど、長いまつげはちいさく震えていた。

「武のこと思い出してからずっと1人で待ってるの、すげー長かった」

寂しかった…と小さくこぼした隼人の呟きを、俺が聞き逃すはずがない。

「は、はやと…!!」

――あああもう!なんて可愛いんだろう!

ふだんは聞けない素直でかわいい彼の言葉は俺の中でミラクルヒットした。
不器用な彼が、愛しくて愛しくてたまらない。

こんなに好きなのは今までもこれからも、おまえだけだって誓うから。

「寂しい思いさせて、ごめんな?」

隼人にそっと近づいて、やさしく髪をなでると隼人はうつむいた。
さらさらの髪がながれて、まっかな耳が丸見えになる。

「でも俺をおもいだしてくれて、ありがとう」

こめかみにキスをすると隼人はゆっくりと顔をあげた。
すでに眠気はさめたみたいで、きれいな瞳が揺れている。

「今度忘れさせたら、もうおもいだしてやんねーから」

「大丈夫。ぜったい忘れさせないよ」


俺のすべてで誓うから。だから信じて?


離れていた時間をおぎなうように、隼人の甘いくちびるにキスを落とした――。





きみに捧ぐ

ラプソディー


(それは聖なる誓いのような)








***
ギャアアア!!なんか山がデレデレしちゃっててスミマセ…!
よくわからない話になってしまいましたが補足をしますと、獄は山と離れてる間山本の存在を忘れようとするんですよ。寂しくないように。
でも電話が来て山を思い出すと急に時間が過ぎるのが遅く感じて、寂しくてふて寝しちゃうんです。山本のばかやろーって!(←違う

……それにしても補足がないとわからない話って…orz

 

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