長いおはなし

□ドリーミングガールとマフィアな僕《1》
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この春、俺は第1志望だった並盛高校に見事合格した。

並盛高校は倍率3.2倍の超人気高校。いっつも模試ではD判定だった俺が合格したことに友達や先生は驚いていたけど、それ以上に俺自身が一番驚いた。
自慢じゃないけど勉強はからきしダメで、中学ん時は補修の常連。
3年間野球ばっかやってた俺は、監督に「お前の脳は筋肉なっちまったんじゃないか」ってからかわれてたくらいだったから。ホント、運がよかったとしか言いようがない。
あえて言うなら面接の時、ちょっと面接官と仲良くなったくらいだけど。でもそんなんで受かるほど受験は楽なもんじゃないだろうし。

とにかく俺はラッキーだったのだ。これで一生分の運、使いはたしたんじゃないかって思うくらい。



入学式の朝、その日はまるで俺たち新入生を歓迎するかのように雲1つない空が広がっていて、俺の足取りは自然と軽くなる。
チャリ通の俺は、学校の裏にある自転車置き場に自分のチャリを置くと、正門までの道をのんびりと歩いた。
周りを見ればほぼ全員が並盛生で、やっぱり高校生は中学生に比べて大人っぽい。憧れだった並盛高のブレザーを俺が今着ているんだ、って思うと、なんだか誇らしくって、同時に少し気恥ずかしい。そんな気持ちを紛らわすようにまだ着慣れないネクタイをいじってみたりした。




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