長いおはなし

□ドリーミングガールとマフィアな僕《4》
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「あの〜…その『マフィア』って、映画か何かでも撮るんスか?」

だとしたら俺に話を振るのは間違いだと思う。演技力なんて高度なもの持ってないし、それに悪いけど俺、そういうの苦手なのな。細やかな表現力とかよりも、大きく身体を動かしたりする方が得意だ。

「…なっ!?俺たちはマフィア映画撮るわけじゃねー!」

先ほどの会話によるとたぶん『ごくでら』さん…?がいきなり怒り出した。俺はなんで怒ってるのかわからなくて首をかしげる。
こちらを見て頑張って睨んでくるんだけど、そんな怒った顔も可愛い。

「俺たちはイタリアンマフィアで1、2を争うボンゴレファミリーだ。そしてこのお方こそ!我らがボンゴレ10代目ボスの沢田綱吉さんだっ!」

「ああ、映画じゃなくてごっこ遊びな」

「ごっこじゃねー!!」

キィッと苛立ったように叫んだ彼女を沢田さんは慌てて押さえ付けた。

「離して下さいっ!あいつに…あいつに一発ぶん殴らないと気が済みません!!」

「ちょっ、獄寺さん落ち着いてー!!」

「ハハッ、元気なのなー」

2人のかけ合いに笑いながら、俺はこれから始まる高校生活に胸を踊らせていた。
高校生活初日にしてこんなにおもしろい奴らと会えるなんて、俺はラッキーだと思う。
新しい友達、優しい先輩、個性的な先生。そして、今まで見たことがないほど綺麗な人。
これから楽しくなりそうだ、と俺はニッコリ笑った。








カツ…カツ…、と綺麗に掃除された廊下にブーツの音が響き渡る。初めは迷った道程も、今じゃ目的地まで目を瞑ってたって辿り着ける。
慣れたもんだな、と自嘲的な笑みが零れた。これが裏切り行為だということは、重々承知している。
しかし、結局誰かがやらなければいけないことなのだ。それをただ、俺がしている。それだけのこと。
周りに比べて一際立派な、重厚な扉を開けると『彼』が俺を待っていた。


「さあ、始めましょうか」


破壊へと続く円舞曲を!










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