絶対遵守の王のおはなし

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中高一貫制 アッシュフォード学園。
僕、枢木スザクは高等部の2年だ。
そして、生徒会の一員。
少し体力が有り余っている、極めて普通の男子高校生だ。


そんな僕は、今、恋をしている。

相手は、手を伸ばせばすぐに触れられるくらいそばにいる。
同じ生徒会役員。



癖のない艶やかな黒髪。
陶器のように白くなめらかな肌。
凛とした、甘い紫の瞳。


名前をルルーシュ・ランペルージという。


綺麗で、生意気で、美しくて、厳しくて、とても優しくて、なによりも可愛い。

最初は、あまりに生意気だから気に入らないと思ったりもしたけど、本当は努力家で面倒見がよくて、少しドジなところがあるルルーシュを知るうちに、好きになっていた。

聡いルルーシュのことだから、気がついているかもしれない。

でも、言えない僕。


今日も、手を伸ばすことなく、見つめるだけ。



「枢木先輩、何かようですか?」

訝しげにこちらを振り返るルルーシュ。
10cmの身長差はなかなか凶悪で、すべての目線は上目遣いになる。

「ん…と、ランペルージは仕事が早いなと思って」
「先輩が遅いだけです」

ごまかす為にも笑顔で褒めてやれば、ふいっと顔を背けられてしまった。


知ってる。
それが、照れ隠しだって。



半袖になってしばらく経つけれど、袖から伸びる白い腕はあまりに細くて、今だにゾクッとしてしまう。

夏服は凶器だ。

体のラインがはっきりとわかる。

去年の今頃は、まだ子供にしか見えなかったはずなのに。

それとも、僕の恋心が作り出したフィルターが成す技なのだろうか。

未成熟な身体が持つ危うげな色香がただよっている。


「…ランペルージ、ちゃんと食べてる?」
「なんですか、薮から棒に」
「細すぎるよ」


いろいろと知られたくないよこしまな思いを隠すように、ウエストに手を添える。


目を見開き声にならない悲鳴をあげたルルーシュは、僕をキッと上目遣いに睨みつけた。
あ、その顔も可愛い。


「大きなお世話だ!俺はまだ成長期!!」」
「そうだね。僕もまだ伸びてるよ」


ルルーシュは眉を寄せる。
もちろん、それさえも可愛いのだけれど。


「枢木先輩、仕事してください」
「…もう少し話さない?副会長」
「嫌です」


笑っているけど笑っていない。

会長の思いつきのせいで、前代未聞、中等部生副会長となってしまったルルーシュに課せられた仕事は多い。
もちろん、優秀なルルーシュならこなせる量なのだが。

しかし、連日生徒会に顔さえ出せなかったルルーシュは仕事を溜め込んでいた。
メンバーは事情を知っているから、ヘルプに入ろうとしたのだ。

ルルーシュはやんわりと断った。


そして、同じくサボりがちであった僕が手伝うことに。

胸中ガッツポーズだ。

本日二人きりにされて、パラダイス。



とか言って、なにもできない僕。
見てるだけ。
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