絶対遵守の王のおはなし

□EWig wIEdErkeHReN 〜永遠回帰〜
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《00》


「あなた方の自治を認めてもいい。…そうですね、各植民地支配も続けて構わない。表向きは、同盟を組んだということにでもすればいい」



皇暦2017年 日本は、ブリタニアに牙を向ける。
これまで大人しくしていたのも、この機を狙っていたからであった。
情報、科学力、技術…全ての面で、日本は虎視眈々と力を付けていく。
そして、この時勝利をした。

世界に知られることの無い形で、じわりじわりと追い詰め皇帝の首に刀を突きつけることに成功したのだ。


しかし、日本側が求めたのは世界の変化ではなかった。

現在世界への進行は、着実にブリタニアによって進められている。
EUも中華連邦も、持って数年だろう。

そこに日本が台頭しても、各国にとって支配者が変わるだけ。なにも変わらないのだ。
変化に人々が戸惑うくらいなら、直接的には今まで通りブリタニアが支配を続ければいい。

もっとも、実質の支配権を持つのは日本になる。
ブリタニアを影で支配し、世界の支配者となるのだ。


今の日本にはこれが可能であった。


「しかし、何事も無くいきなりわが国と同盟を結ぶとなると、各国も戸惑うことでしょう。和議の証に…皇女を一人、わが国の首相枢木ゲンブの嫡子の嫁にと」


断れる状況ではなかった。
すでにブリタニアには選択する余地など無い。

ブリタニア軍の機密などは今はあってないようなもの。全ての情報が日本へ漏洩している。
否やが出れば、皇帝をはじめとした皇族は全てこの場で殺されることだろう。
本来皇族を守るはずの兵士達の多くは、日本が放った偽の情報の為にEUと中華連邦に分かれて向かっているはずだ。今更気づいた所で、間に合わない。
そして、今ブリタニア本国はずべてが停電し、暗闇。
機械化の進むブリタニアにとって、致命傷となった。
予備電源すら動かないとは、日本の用意周到さは大変なものである。

今ブリタニアに近づくもの、ブリタニア内で武器を取るものがあれば混乱に乗じて入国した日本兵がそれを死を持ってしても諫めるだろう。
そして、対KMF戦においては日本が誇る3名のエースパイロットがそれぞれの部隊を引き連れてブリタニア本国に降り立っている。

若くしてその実力は広く知れ渡る紅一点、紅蓮弐式の紅月カレン。
数々の戦線でその名を残す、月下の藤堂鏡志朗。
そして、首相でもある枢木ゲンブの嫡男、ランスロットを駆る枢木スザク。

能力の高さからいえば、ブリタニアのエースパイロットとは比べ物にならない。
唯一彼らと肩を並べられるとすれば、皇帝直属の騎士であるナイトオブラウンズくらいであろう。
しかし、彼らも数名を残しブリタニアを離れている。

皇帝を護る為に本国に残っていたラウンズは、既にスザクとカレンにより捕虜となっていた。


この状況を変える方法は、極めてゼロに近い数字でしか見つけ出されることはないだろう。
もっとも、みつかったとしても、だ。


「そうすれば、誰も死なずに、今のままの『平和』な世界が続きますよ」


世界は終わりを告げ、始まりを迎える。
闇の中での密約は、世界の支配者を変えた。







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