絶対遵守の王のおはなし

□きらきら☆CANDY DAYS
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【朝は3人で始まります】


僕、枢木スザクには妹が2人いる。
といっても、2人とも血は繋がっていない。
七年前、両親の再婚で兄妹になったのだ。

「おはようございます、スザクお兄様」
「おはよう、ナナリー」

部屋を出ると、下の妹、ナナリーと遭遇。
ふわふわした長い髪の毛。
パッチリと大きな青紫の瞳。
お人形さんみたいな可愛い妹だ。

2人とも、既にきちんと制服を着用。
もちろん同じ学校に通っている。
ナナリーは中等部で、僕は高等部だけど。


「ナナリー、スザク!朝食できてるぞ」

階下から僕らを呼ぶ声。
ナナリーと声を合わせて返事をする。

誰よりも早く起き、我が家の朝食を作ってくれているのが、上の妹(といっても、5ヶ月だけしか違わないんだけど)のルルーシュ。
ナナリーとは違い、ストレートの黒髪。
切れ長な瞳の色は紫。
とても美人な、妹。

彼女も同じアッシュフォード学園に通っているので、制服。その上にエプロンをしていることだろう。

「おはようございます、お姉様」
「おはよう、可愛いナナリー」
「ルルーシュ!おはよう」
「早く座れ、スザク」

3人でダイニングに集まって、いつもどおりの席に着く。
ルルーシュとナナリーが隣どうし、向かいに僕。

「今日も美味しそう」
「本当だ」

ナナリーと2人で褒めれば、必ず嬉しくも恥ずかしそうに微笑んで、ルルーシュはこう言うのだ。

「当然だ」

それを見届けて、みんなで手を合わせて食事を始める。
これが習慣になったのは、もう3年も前のことだ。


「父さん、母さん。ルルーシュはもういつでもお嫁さんになれるよ」

今日は和食だったので、味噌汁が心に沁みる。
思わず口走った台詞に対して、ルルーシュは呆れ顔をし、ナナリーは笑っている。

「なんだ、それは?」
「スザクお兄様、それじゃあお父様とお母様が亡くなってしまったみたいに聞こえますよ」

3年前、仕事の都合で両親揃って海外に行ってしまった。
まだ中学生だったルルーシュが、自ら家事をやると宣言して、今に至る。

「そう?でも、本当にどこに出しても申し分ないと思う」
「まだ早いです。お姉様は誰にも渡しません」
「ナナリーをおいて、どこにも行くわけないだろう?」
「はい」

こんな時、ちょっぴり疎外感を感じるのは、2人には秘密だ。
ルルーシュにとって、ナナリーは宝物なんだと思う。
たった一つ、何があっても守りたい存在。

僕だって、2人を守りたいんだけどな。

「スザク?美味しくないか?」
「美味しいよ!」

ルルーシュが作る料理に、不味いものなんて一つもない。
それは、僕が一番よく知っている。

だって、料理の練習はいつだって僕でしていたんだから。
『練習中のものをナナリーには食べさせられないだろ』とか言って。

「おかわり」
「はいはい」

いつもお替りをするのは僕だけなのに、いつも動ける場所にはルルーシュ。
母さんの代わりを、そこまでやってくれているのだ。

三人のお皿の上は綺麗になくなり、「ごちそうさまでした」と手を合わせる。


食器の片付けは、今日はナナリーの当番。
これは日替わりだ。

食器の片付けを手伝って、ルルーシュが三人分のお弁当を配って、火の元チェックと鍵閉め確認をして、やっと学校へ出発。

「お兄様、早く早く!」
「…スザク!お前今日は風紀の当番の日じゃなかったか?」

ルルーシュに言われて、思い出す。

「やばい!急がなきゃ」

こうして、今日も一日が慌しく始まった。
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