絶対遵守の王のおはなし

□きらきら☆CANDY DAYS
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【放課後は戦いを推奨します】

ああ、本当に腹立たしい男だ、枢木スザクよ。

今こそ反逆の時だ。
いつまでも、お前の妹としておとなしくしているわけじゃないぞ。


「ホントにいいの?ルルちゃ〜ん」

面白そうな声音で訪ねてくるのは、生徒会長のミレイ・アッシュフォード。
お祭り好きの彼女は、どんなことでもイベントに変え、学園を盛り上げる天才だ。
もっとも、巻き込まれるこっちとしては、いいことばかりではないのだけれど。

「やってくれ、会長」

スザクはバイトで既に校舎から離れている。
ナナリーも今日はアーニャと寮へ向かっている。

実行するには最適だ。


「りょーかい。ニーナ、音声お願いね」
「うん。任せて、ミレイちゃん」

放送室の機材をニーナが動かし、会長は息を吸い込む。

『はーい!学園のみなさん、こんにちは!生徒会長のミレイ・アッシュフォードよ。今日は緊急イベントを開催しちゃいまーす!!題して、《副会長の恋人は誰だ!》です。なんと、副会長のルルーシュ自らの持ち込み企画。我が生徒会の誇る美少女生徒会副会長を恋人にしたいと望む貴方!これからクラブハウスにて、面接を行います。じゃんじゃんかかってらっしゃい。審査基準は、ルルーシュの兄スザクと妹ナナリーが認める者。愛さえあれば、年齢性別は問いません!!開始は今から30分後、今まで遠巻きに見ているだけだった人も、名乗り出てきなさい!その中から一名、ルルーシュとのデート一日権を進呈するから、そこでじっくりアプローチしなさい!!以上』

実にわかり易い口上だ。
これまで大人しく、スザクの妹をやってきた。

でも、限界はあるんだぞ?
恋に生きる。生きてやる。

ナナリーはいつまでも可愛い妹だから、ナナリーを可愛がってくれる人じゃないとごめんだ。
ついでに、ナナリー相手に邪な感情を抱くような輩も遠慮してもらう。

そして、スザクを見返してやれる位の奴ではないと意味がない。
朝のあの暴言、反省するがいい。


恋人ができたら、お弁当はナナリーとそいつの分は手のこんだものを作って、スザクの分はおにぎりだけだ。登校はスザクだけ別で、お昼もスザクは別で、帰りもスザクは別だ。

「さ〜て、クラブハウスで準備しましょ?きっと既に殺到してるはずよ」
「でも、いいの?スザク君に内緒でこんなことして?」
「スザクには現実を思い知らせてやるべきだ。私はモテないわけじゃない」

殺到するくらいでいいのだ。
それくらいの方が、伝わることだろう。真実というものが。


「私としては、ルルーシュからこんな企画を出してくるなんて、意外すぎて嬉しいわ」
「それはどーも。偶には私だって、生徒会に貢献しますよ」

廊下の窓から外を見遣ると、校門の所に見慣れた茶色い髪の毛が見えた。
アッシュフォード学園は広い。だから、表情までは見えないけれど、それがスザクだということくらいは認識できる。


「ルルーシュ!!」

一瞬人影がこちらを向いたかと思うと、怒気を含んだ声で叫ばれた。

さすがだな、スザク。
その距離でよく私を判別したな。

未だに腹をたている私は見えているのだろうことを予想し、あっかんべーをしてやった。
ざまあみやがれ。

そして、メールを打ち、送信。


こちらに向かおうとしていたスザクは、携帯を手に取り、もう一度こちらを睨む。
馬鹿が。
私を侮るな?
家計を握っているは私だ。

その顔が見れただけで満足だよ、お兄ちゃん。
さっさと帰ってしまえ。

そして、精々バイトで稼いで来い。

「ルルちゃ〜ん、どうしたの?」
「すみません、会長。今行きます」


これは戦いだよ、スザク。
私は私のプライドと意地を貫く。

そして、幸せになってやるさ。


だからお前は、遠くから見ていろ!
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