絶対遵守の王のおはなし

□きらきら☆CANDY DAYS
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【折角の気遣いは、いつも無駄になります】

アーニャさんやアリスさんと遊ぶ約束をしていました。だから、アーニャさんと二人で図書館に行った後、アリスさんの待つ学園に併設されている学生寮へと向っていた時です。
あの放送を聞いたのは。

「お姉様?!」

思わず、叫んでしまっていました。

「…ナナリー、また空回り」
「い、言わないで下さい、アーニャさん」

本当に、どうしていつもこうなってしまうんでしょう。
私は、ただ、大好きなお姉様とお兄様に、もっと仲良くなってもらいたいだけなのに。

「だいたい、ルルーシュもスザクも、本当にナナリーのことを考えていない。どうしてナナリーが、度々こうして家を空けているのか、考えたことなんてないに決まってる」
「仕方ないですよ、アーニャさん。お姉様は、恋愛については無意識に考えないようにしているんです。そして、お兄様は、お姉様に恋をしている自覚がないんです」
「それは、見ていたらわかる」
「ですよね」

私はずっと二人と一緒にいたから、いつの間にかお互いを特別に見るようになっていた兄姉に気がつきました。
それでも、兄妹、家族という枠があるから、二人はそこから先に進めない。

お兄様はこれまでに何人かの女の人と交際をしていたけれど、誰とも長続きはしなかったし、相手の方は、髪の色とか、目の雰囲気がお姉様に似た方ばかりとお付き合いされていました。
それに気付いたのも、私だけではないと思います。

でも、誰もそのことをお兄様に伝える人はいませんでした。
だって、お兄様は本当に無意識だったから。


お兄様に比べて、わかりにくいのはお姉様。
お姉様は、特別な人を作るのを避けている感じで、そんな中、お兄様はやっぱり違って、私は嬉しかった。お姉様が、好きな人が私も大好きな人だったから。
でも、お姉様の気持ちに気付いているのは、私と私に近い視点から二人を見ていたアーニャさん、幼馴染のユフィ姉様くらいだと思いう。

お姉様自身すら気付いていない気持ちを、どう理解していただけばいいのか、私にはわからない。
それは、お兄様も一緒。どうすれば、自覚してくださるんだろう。あんなに、態度に表れているのに。

私が考え付くのは、せめて二人でいる時間を増やしてあげればいいんじゃないかくらい。
でも、ダメ。
そういう時は、いつも二人はケンカをしてしまう。
二人きりだと、意識をしすぎてしまうからみたいだけれど。
今回のは、特に酷いみたい。

「…ナナリー、私もクラブハウスにいってもいい?」
「え?」
「私もルルーシュは好き」
「アーニャさん、お姉様の恋人になりたいんですか」

友人の言葉に、さらに私は混乱してしまった。
アーニャさんがお姉様を気に入っているのは知っていたけれど、まさか、そういう方向性だなんて思ってもいなかったから。

「違う。ルルーシュの記録」
「あ!そういうことですか。でも、お姉様は私が来ることを嫌がると思うんですが」
「構わない。ナナリーだって、気になっているはず」
「そうですね。気になります」

つまり、アーニャさんはこのイベントの経過を記録したいということ。
そして、お姉様の反応も見てみたいのだろう。

私も、こんなことをするお姉様の様子が気になって仕方ないから。
アリスさんには断りの連絡をいれることにしましょう。


そして私たちは、お姉様が待ち構えるクラブハウスへと向うことにしました。
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