絶対遵守の王のおはなし

□EWig wIEdErkeHReN 2 〜永遠回帰〜
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神聖ブリタニア帝国第三皇女ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの朝は早い。

本国にいる時も、比較的早起きを心がけていた彼女であるが、本来朝に強い方ではない。
しかし、ここではやるべき事がある。
婚約者であり友人になった枢木スザクと自分の朝食を作るためだ。

本来、枢木家には使用人がたくさん控えており、家事をする必要はないのだが、何もすることがなく暇を持て余したルルーシュが自ら買って出たのである。
しかし、全てをルルーシュに任せては、使用人たちの立場がなくなってしまうので、ルルーシュが行うのは、スザクと自分の食事の支度と洗濯に掃除。
花嫁修業だと思えば、当然のことだ。

本国でも、自分の事は自分でやるという母の教育方針により、一通りのことは自分でできるようにしていたルルーシュは、どれをやらせても完璧にこなした。
料理に関しては、使用人たちが白旗を挙げたくなるくらいに上手い。

眠たい目をこすり、服を着替え、長い髪を梳かして一つにまとめる。

顔を洗えば、少しすっきりする。

「…昨日は洋食だったから、和食…」

枢木家の台所にはそろそろ慣れ、必要な食材を準備する。
和食も本で読んだり咲世子から習って、作れるようになった。

魚を焼く傍ら、だし巻玉子を作り、味噌汁の準備。

出来上がったものから食卓に並べて、後は定位置に人間が座れば朝食がスタートする。


「6時50分。スザクを起こすか」

いつもどおりの時間に、彼女の2つ目の仕事を行う為にスザクの寝室へ向う。
日本に来て一ヶ月、いつの間にか、これが日常になっていた。


「おはよう、スザク」
「ん…」
「朝食できたぞ」
「ルルーシュ、おはよう。わかった、起きる」


学校に通い、軍の仕事をこなすスザクは毎日が忙しい。
だから、朝もギリギリまで眠りたいのはよくわかる。
特に、昨日は軍部の会議に呼ばれていて、帰って来たのは24時を回っていた。
まだ学生で、16歳のスザクをそこまで働かせるのは大丈夫なのかと、日本国軍に多少の疑問を抱かなくもない。

しかし、従軍していれば、どのような年齢の者でも徹夜で戦線に立つことはある。
そう思えば、特別なことではないのかもしれない。

柔らかい碧色の瞳が、朝日にキラキラ輝いていた。
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