絶対遵守の王のおはなし

□EWig wIEdErkeHReN 2 〜永遠回帰〜
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「いってきます」
「いってらっしゃい、スザク」

朝食は、美味しいと何度も言ってもらい、ご飯も3杯食べてくれた。
満足して食器を片付けていると、スザクが学校に行く時間になっている。
玄関まで見送りに行き、笑顔で見送る。
これももはや日課である。
そして、そんな二人を微笑ましそうに見守ることが、枢木家に仕える使用人たちの日課になっていた。


最初は人質として日本にやってきたルルーシュは、スザクとこのような友好的な関係になれるとは思っていなかった。

これはこれで幸せなのかもしれない、と最近では日本での生活も楽しめるようになってきている。

「ルルーシュ様、本日のご予定は?」
「まず、洗濯。その後、掃除。…昼食は、咲世子さんのお奨めで。その後、少し自室に籠もります。4時頃、買い物に付き合ってくれますか?」
「畏まりました」

ルルーシュ付きに命じられた咲世子は、存外素直なルルーシュに好感を持っていた。
スザクが咲世子との外出は許可したので、買い物にもよく出る。
初めて一緒に買い物に行った時、ルルーシュは咲世子に大切な質問をした。
それは、とても重要で、咲世子が彼女を本心から主と認めたくなったくらいのインパクト。

『咲世子さん、スザクの好きな食べ物…教えてくれますか?』

スザクからも幾つか聞いたが、その味付けは枢木家の味。
本に載っているものとは異なるかもしれない。
スザクからも信頼の厚い咲世子であれば、詳しく知っているはずだと思ったうえでの質問。

同居を始めて一週間。
スザクに心を開こうとしていなかったルルーシュが、一歩も二歩も歩み寄ろうとしていることを感じた。
とても、前向きに。


咲世子はその質問に丁寧に答え、ルルーシュは真剣に頷いた。
その様を見て、枢木からの命令ではなく、自分の意思でルルーシュを守りたいと咲世子は思ったのだ。

だからこそ、咲世子はルルーシュの意思を尊重する。
ただでさえ慣れない地で過ごすルルーシュに、周りは優しいとは言えない。
なにより、生国である神聖ブリタニア帝国は侵略国家。
好感を持って彼女を見る目が多いはずがなかった。

特に、閉鎖的な枢木の屋敷ではその風潮が強く、最初のうちは使用人の誰もがルルーシュを遠巻きにしていたのだから。

それも、ルルーシュがスザクと打ち解け始めて行けば解消された。
美しい外見も、明晰な頭脳も、意外に素直な性格も、たまに見せるドジな一面も、スザクとのこれからを感じさせる関係も、枢木の嫁として受け入れることに異論は誰一人抱いていない。


しかし、それにしても最近のルルーシュは部屋に篭りがちである。
慣れてきたからこそ、他の使用人とももっと触れ合ってみてもいいと思うのだが、最近の彼女は数時間必ず部屋に篭り何かをしている。
気にはなるものの、不躾に尋ねることもできない。

しかし、不思議と不信感は抱かなかった。
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