一緒にかえろ

そう言って、手を取って
いつもみたいに楽しく喋って
何か分からんけど、どきどきしながら
帰る予定やったのに。
今までみたいに、幼馴染を続ける予定やったのに。


下駄箱、俯いて向き合う影
両方が、ほんのり赤く。

声は、全部届いた。

私はそれを、少し遠くから見ていた。

何でもない事、って笑って待っていよう
柱の影で、笑顔を作ってみたけど
どうしてだろう、うまくいかない


「先帰る」


いつもより低い声を出して、わざとその二人の間をすり抜けた

「お嬢様!?」

ずっとそこにいたらいい、好きだといわれて赤くなってればいい
ばか、
ばかばかばか、ば

痛いくらい強く掴まれた手に振り返ると、泣きそうな彼女。

泣きたいの、どっちやと思ってるん

「おじょ「桜咲先輩!」

振り払うだけのつもりだったのに、もう片方の手で彼女の頬を叩いてしまった

「あほ…っ」

あっさり遮られた声に、あっさり離れた手に
あっさり叩かれる貴女に、それだけ残して全力で走った

早く、早く、早く

早く追いかけてきて。



あっさり捉まって、あっさり抱きすくめられて
あっさり身を委ねる私に、彼女の震えが伝わった

「……叩いて、ごめん」
「大丈夫です」
「怒らへんの?」
「怒りません」
「何で、抱き締めてるん?」
「…分かりません」

ぎゅっと、もっと強く抱き締められた
震えは止まってた。

「あの、何で、私は叩かれたんでしょうか…?」

おずおずと聞いてくるその言葉に、少し考えてみる

「分からん…けど、何か痛かった」
「え、大丈夫ですか?手ですか?」

なんだろうな、この、もやもや。
今まで、こんな気持ちは知らない

あ、そうか

「せっちゃん、分かった」
「はい?」

好きに、なったかも。


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