黎 明 録

□集結
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井吹が、前川邸で寝起きするようになってから、そろそろ三日がたとうとしていた。

寝ていた井吹を蹴り飛ばし、起こさせた芹沢は、自分の襦袢を庭にいる平間に洗濯させるように伝えろと言う。
ついでに、酒も買っておけと。

納得がいかない井吹は何故、自分がと食いかかるが、鉄扇で沈められてしまった。

「…わかったよ。やりゃあいいんだろ、やりゃあ」

しぶしぶ、井戸へ向かう井吹。
平間に洗濯を頼み、芹沢に頼まれた酒を買いに出る。

(そーいや京の地理、わかんないな…。)

八木邸にいる連中にでも聞きにいくかと決め、八木邸へ向かう。


「ん?あれは…」

八木邸の前に見慣れない人影が立ち尽くしているのを目にして、井吹は足をとめる。

「あんた…そこで何をしてるんだ?
この家に、何か用なのか?」


右差しの、黒ずくめの男は、静かな声音で告げる。

「…近藤さんか、土方さんはおられるか」
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