Another country heard from

□駄菓子菓子
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「うちの店を毎度ご贔屓させて頂いてる御礼ですわ。」
甘い菓子なのでオニーサンの口にあうか分かりまへんが…と、帰り際に飲み屋の店主が柔らかい表情をしながら、小さな袋に包んだ可愛い色の粒々としたキラキラ光る砂糖菓子をポンと渡してくれば、それを受け取る原田は素直に「どうも」と放ち、ペコッと軽く頭を下げ御礼を伝えた。

「またのお越しをー」
門限もある為、共に来ていた永倉と平助と共に屯所へと帰ろうと暖簾をくぐり抜けながら、原田は己の掌の上の袋の中の金平糖を睨みながら「…菓子、貰ってもなー…」と小さく呟いて仕舞う。

太陽の光でキラキラ…と主張する可愛らしい御菓子に、原田はつい苦笑いを落としながら、どちらかと言えば自分は菓子より酒か飯の方が…と口で嘆いて仕舞うのだったが、無料で且つ好意で貰った物であるからには文句は言えない。

「へー、金平糖かー!…左之さんが食べるとこなんて想像もつかねーや!」
原田は、ニヘヘッと悪戯に微笑みながら口を開く平助の頭をワシャッと鷲掴み撫でながら、「まぁ、総司や千鶴にやりゃあいいか?」と小さく笑いながら自己解決すれば、平助の位置とはまた逆の横から「いやいやまてまて」とツッコミが入ったのだった。

「なんだ?新八…まさか、お前が食べたいなんて言うんじゃねえよな?」
原田がギョッとした表情で永倉を見れば、隣に居た平助も「ええっ、新八っあんが金平糖!?…最強に似合わない組み合わせ!」と放ち、ゲラゲラと笑いが興るのであった。

「なっ…!?失礼な奴だな!!」
俺は菓子より酒の方がいーんだよ!と、町が静まり睡眠の支度をする夜の帰り道に、大声を放ちムキになりながら否定する永倉に、二人は「馬鹿!今何時だと思ってんだ!」と慌てて永倉の口を塞いだ。

「…ふががっ、むがが!!」
言葉を発せず妙な呻きが未だ漏れる様子を見れば、永倉は微酔い状態だと察する事が出来、「ったく…!しょうがねぇな!」と原田が漏らせば、平助と共にサッサッと足取りを早め、屯所に戻る事にした。

「だからよー?総司や千鶴ちゃんにも菓子やっても良いけどよー?…分けてやんねえと拗ねる奴が他にいるんじゃねえか?」
ハッハッハ!と微酔い良い気持ちになっている永倉の言葉に、原田は「はあ?金平糖だぞ?」と渋い顔をしながら不思議に思えば、平助は「金平糖…他に好きな奴いたかなー?」と疑問を承ける。
はて…男だらけの新選組に、たかが金平糖を分けず拗ねる野郎なんて…金平糖が好物だと主張する沖田以外他に、誰か居ただろうか?

「新八、あと誰にやりゃいいんだ?」
無論、酒や飯なら話は違うが…と永倉に言葉の意図を問えば、永倉はコクッ…コクッ…と睡魔に襲われようとしている状況に、原田と平助はギョッと焦り、「マジ!?此処で!?」と嘆き足を急がせる。
屯所までの道のりは残念な事にまだまだ残っており、金平糖の件は酔っている永倉の言葉との理由も含まれたのもあり、一気に二人の脳内から消え去れば、この状況をどう逃れ屯所に帰るかが重要で、瞬時に脳内を占める件となるのであった。

「冗談じゃねーっての!新八っあんの巨体引きずるなんて拷問だってー!!」
平助だって微酔いに近い状態であった為に、素面の時に比べれば力は余り出ずにおり、原田は「くっそ…!気張れ!平助!」と己と彼を励ませば、足取りを更に早めながら「新八の野郎…!」と抱える者を睨めば、気楽にスピスピ眠り転けそうになる永倉は、今宵の平和を告げるのであった。
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