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(高校三年生)

「〜〜ッ!?」
「はじめちゃん…っ、お、おかえりなさい」
「お前っ…此処は俺の部屋だろ!」
「〜〜だって今日はお泊まりするから…っ」
「だからってこんな場所で着替えるなぼけ!」
自室の為、当たり前の如くガチャリと扉を開けた瞬間、岩泉の顔面は、ぼふんっと真っ赤に茹で上がり数秒時が止まる。何と岩泉の自室で平然と着替える下着姿のなまえに対して幾つかの突っ込みを放ち、一度開けた扉をバタン!と閉めて扉の前で着替え終わるのを待機して待つ。これは正直、彼女の厄介な場面でもありしかも本人は至って悪気が無く意図的でも無い処が更に頭を悩ませていた。ぽやぽやしていて隙だらけ、そして仲の良い異性に対してはとことん信用し過ぎる一面があり、岩泉及川双方の幼なじみ組の苦悩や悩みの種の一つではあった。

「…私の下着姿くらいでそんなに怒らなくたって…」
「アァ!?(マジでふざけんなよ俺の事何だと思ってやがる…!)」
美味しく夕飯を頂きお風呂に入り明日の宿題や支度を等を全て終え、部屋で二人きりに成れば岩泉のブチブチは未だ続いて居た。それでもなまえが泊まりに来てくれた事に対してやっぱり素直に嬉しい岩泉は、なまえ専用の布団を自室に敷き彼女が心地好く眠れる様に手際良く準備していた。

「〜〜お前は色々と自覚しろ!ほら、布団出来たぞ」
「わぁ、ありがとう…!ねぇねぇ、はじめちゃん。昔は一緒のお布団でぎゅっ、てしながら寝てくれたのに今はしてくれないの?」
「(コイツ…!)ーー稀に仕方無い時はしてるだろ。お前の身体や心が辛い時とか。…この俺が!此処まで折れてんだぞ?有難く思えってんだ」
「そっかぁ…私とはじめちゃんの関係なのになぁ…」
「(プツン)ーーなまえ、今からコンビニ行ってくる。絶対に動かず待ってろ」
「? うん?わかった。急にどうしたの?」
「決まってンダロ。今からお前と使うコンドーム買ってくる」
「えっ…?」
「体力には自信あるんだ。なまえも分かってるよな?今夜は俺が満足するまで寝かせねぇよ?」
「〜〜ま、まって!で、でもそういうのは好きな人と、する事じゃないの…?なんで私…?」
「ーーまぁ、そりゃそうだ。でも俺とお前の関係だろ?」
「〜〜っ…はじめちゃん…!」
カァァァッ…と顔が真っ赤になり甘い瞳をうるうるっと麗せるなまえを顬や頬にちゅっ、と口付けを落とすと、なまえはいやいや、と首を横に振りながら、思いを留めて貰う為にも岩泉に精一杯のごめんなさい、を伝えた。

「…私、はじめちゃんの怒る事しちゃって…たくさん謝るから…!」
「ーーあぁ、ホントだよ。いつもいつもおちょくりやがって…謝ればすぐ許されると思ってんだろ?ーーそれにドーセ俺にこうされてても今も及川の顔がチラつくか?すげームカつくわ」
「なんで徹く…っ、ん、ひぁ」
「あー腹立つ可愛い」
なまえの透き通る小さな頬っぺたに桃色が差し、ちゅっ、ちゅ、と桃色目掛けて唇を落としていく。ぎゅぅ、と華奢な身体を抱き締めれば、かたかた、と少しだけ震える手を岩泉の腰辺りに回して、ぎゅ、服を掴む姿は彼にとっちゃ可愛くて可愛くて仕方ない。

「(〜〜好き、好きだ、好きだ、俺が一番になまえの事が好きに決まってるのに…ッ、クソッ…!)」
あーもー…コイツはホントに厄介すぎる。無意識に絶対俺がなまえに手出さない、俺に対して絶対的な信頼が有るからこそ、なんてなまえの脳みそに刻まれてるんだろうな。それを俺は絶対に踏みにじっちゃ成らねェ立場であり、なまえを絶対に笑顔で幸せにするのが俺の役割である。

「…はじめちゃん…私っ、あのね…」
「…はァ…残酷だよな。もう此の儘寝ろ」
「ーーぎゅっ、てして良いの?」
「…お前の事なんか許してねぇから勘違いすんなよ。まぁ今日はコンドーム使う様な事はしないって約束する。…今日はな?」
「…すぅっ…すよ…すよ…」
「ーーあ"ーークソもうマジで小悪魔!」

◾︎◾︎◾︎

(未来編)(⚠︎︎及川ルート)(⚠︎︎妊婦)

「仕事忙しいのに…毎回ごめんね?」
「今更、水臭ぇな。もし万が一、及川の帰国が間に合わないならそん時ゃ俺がアレの代わりに出産の時に立ち会うぞ」
「ふふっ、はじめちゃんが居てくれたらもっと心強いな。ありがとう」
「ーーんで、俺が父ちゃんだぞ、って赤ん坊に言う。大切な日に遅れた及川が悪ィんだから」
「えぇっ…!?(堅ちゃんと同じ事言ってる…)」
なまえは現在、妊娠後期であり里帰り出産の為に日本に帰国していた。なまえが出産する病院はみょうじ系列の病院であり医療従事者はじめ皆なまえを可愛がってくれる事、何よりなまえ自身の心身共に安心出来る体制で出産に挑める事が最大の帰国理由である。

「ここ最近、はじめちゃんには健診に付き添って貰ってばかりで申し訳ないよ。お義母さんやお義姉さん、従者の御方にもお願い出来るから…」
「…そんなん知れば二口が喜んで飛び付くだろ?」
「堅ちゃんとは、はじめちゃんみたいに二人きりでは会わないよ…!それでも私に色々と気遣いしてくれて…」
「兎に角、駄目だ。出来るだけ俺がお前の傍に居るから」
「…じゃあ、健診終わった後のご褒美スイーツバイキングにこれからも一緒に行ってくれる?」
「へーへー仰せのままに」
妊娠後期になれば健診も回数が増えてきて身体も段々と重くなってくる。なまえは華奢で小さな身体なのに、と岩泉は常に心配で心配で仕方ない。華奢な身体が耐えきれ無かったらどうしよう、急に破水したらどうしよう、彼女が転んだらどうしよう、無茶して重たいもの持ったりしたら、万が一、貰い事故にあったりなんかしたら…色々と考えただけでゾッとする。そんな彼は時間があえば兎に角、健診の度になまえに付き添っていた。正直、傍から見たら熱心な旦那さんである。尚、なまえの旦那でありお腹の子の父親である及川は現在、アルゼンチンにおり出産に合わせて日本帰国予定であるのだ。
現世では(分かってるとは思うが現世だからな!との主張が聞こえます)なまえの事を別の視点からまた異なった愛情で見守り続けてくれている二口も、なまえの出産に向けて出来る限りのサポートしてくれていた。あのヤンチャだった二口はなまえとの出会いを経て、過去を知る者が涙ぐむ程に立派な大人になっていた。人間と云うのは人と人との出逢いにより物凄く成長するのだ、と云う事を体で表し証明して見たのがこの人である。

「しかしまぁ…あのぐしゅぐしゅ泣き虫なまえが母ちゃんかー…ふははっ」
「〜〜もぅっ…」
「安心しろよ。これからもずっとお前と子供の事は俺が優しく見守ってやるから」
「はじめちゃん、ありがとう。ふふっ、徹くんの事も宜しくね」
「手加減するわけねぇべやケツ叩いちゃる」
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