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(高校生息子(実家帰省中))

「父さんは母さん以外の人とシた時なんかは抜かり無く避妊してたの?…あ、嘘は要らないからね。母さんとだけ、なんてどうせ(写真見た限りのナリからも)有り得ないンだから」
なまえがキッチンで大きなケーキを焼いて、なまえと娘が最終のフルーツやクリームの飾り付けやデコレーションに取り掛かる昼下がり、淹れたての良い香りのコーヒーのカップをコトッ、とテーブルに置く絵に書いた様な休日、息子との2人きりの空間且つふとした瞬間に、実の父に対してそんな話題を斬り込んで問い掛ける我が息子も中々だ、と同時に、おーおー、とうとうこの時期が来たか、と素直に思う。

「…聞きたい?」
「聞かれた事に対して簡潔に答えてくれればね」
ま、聞き方やタイミングは如何であれ息子から聞かれりゃ純粋に嬉しい。成長したよなとも思うし、或る程度は信頼もされてるんだろう。内容的にも男と男の秘密の会話って奴?ーーま、なまえと比べれば家庭での俺の役割なんてたかが知れてるし、きっとこういう時くらいしか活きがねェンだろうし?(※そんな事は決して御座いません)ーー然しまぁ…此奴も随分とオトナびちゃって(年頃的にも)興味津々のクセにな。

「で?避妊は」
「ンなもん、トーゼンだろ」
「…一度も?」
「おう」
「あらま。ちょっと意外だったかも?欲に負けて腹に出せば(外出し)大丈夫でしょ、って事が数回あるのかと思った」
「(話の大前提としてなまえ以外のって言ったよな?)いやいや勘弁してよ…。責任も取れねぇガキが、ビョーキになった、孕ませた、とか成ったら如何すんだよ。一時的な快楽と雰囲気に呑まれて将来に大きく影響を及ぼすなんて有り得ねぇわ」
「んん…?ごもっともな御意見だけど仮にも好きに成った女性じゃないの?」
「ーーあー、そっか。お前の場合は好きな女性とする行為、が基にあるワケね」
「…まさか息子に対して失礼な勘違いしてないよね?いくらモテるとはいえ俺だって相手は慎重に選ぶよ」
「(あーナルホド)ーーゴホン。相手を守る為にも自分を守る為にも避妊は必ずしろ。例外無く如何なる時もだ。オッケー?」
「モチロン。…ふふ、父さんと俺の考えが一緒で何か嬉しい。行為に対しても子供のクセにダメだ!何考えてるんだ!なんて頭ごなしに言う事せず、俺を信じてくれてるもんね?尊敬するなぁ。ーー安心してよ、親を泣かせる事なんて決してしないから」
「(俺の場合は擦れてたからねー…言えた性質でもねぇし)当時の俺を今のお前が見たら、そんな事言って貰え無かったかもな?」
「へぇ?長年共にし今も付き合いたての如く母さんを愛する凡人界愛妻家代表の父さんを?幾ら母さんと出逢う前の過去の当時の父さんだって、差程今と変わらないでしょ?人間って生き物は思春期を超えてからの心の成長や変化は意識的にも中々難しい、って言われてるのに」
「ーーいやいや、それくらいお前の母ちゃんがスゲェ女って事よ?んでもって凡人上等!」
「…いつも思うけど信じ難いなぁ。あんなぽやぽやしてる可憐な女性なのにね?」
俺だって何度も思った。寧ろ自身含め何奴も此奴も何でこんなぽやぽやした女なんかの何処が良いんだよ、なんて腹が立ったりもして。ーーそんな愛する女との間に授かった子供とこんな話をするくらいに時が経っても、なまえに対する気持ちは当時と変わって居ない。家族愛も加わったから特に無敵か?

「好きな女でも出来た?」
「まぁ、そりゃあね。オトシゴロですし」
「……女連れ込むのもホドホドにしろよ。宿泊なんて特にな。相手は嫁入り前だろ?」
「父さんって、そういうとこは律儀だよね」

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(高校生息子(実家帰省中))

「岩泉さんもだけど、及川さんもイイオトコだよね。流石は母さんの幼なじみ」
「…あー、そうッスね。彼はバレーボール界のスーパースターデスカラネー」
「…何?妬いてんの?」
「〜〜はァ!?今更かよ!当時さんっざん妬いたわ、悪夢だわ、この歳に成って迄も妬きたくねぇわ!」
テレビで及川さんが映る最中、息子からサラり、と忘れられない相手の話題を振られれば、流石の二口だって肩を跳ねさせる。

「〜〜ぷっ、あの父さんがそんなに乱された人たの?ま、そんな人じゃないとこんな大物には成らないか」
「だろ?この人、悔しいけど…バレーボールは本気で強いからな」
「…まぁ、でも」
「ん?(息子からのフォロー待ち!)」
「ーー及川さんには悪いけど、俺の方が顔面偏差値高いよね。そりゃあ体格やバレーボールは敵わないけど(得意分野で云えば)俺だって格闘技では負ける気しないよ(ピース☆)」
「!?ゲェッ(うっわ尽く俺の子だわおそるべし)」
「例えば、今の俺が過去にタイムスリップ出来たとしたら、父さんにも及川さんにも"上には上が居るんだよ"って上手く丁寧に教えてあげたいよね。…んで母さんは即、俺が頂戴するかな?」
「〜〜当時の及川さんから"クソガキが"って俺以上に言われろ!」

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(中学生息子)(会話のみ)

「そういや、お前何処の高校考えてんの?伊達工?」
「おっと?せめて青葉城西って言ってよ。職に於いて急な進路変更ですな」
「ジョーダンだろ。そんじゃ白鳥沢か?」
「あー…その事なんだけど…親元離れても良い?」
「ほう。…俺との幾つかの約束を守れるなら良いけど、母さんは何て?」
「〜〜いや、まだ。ほら、俺って母さん大好きじゃん?泣かせたくねぇなって」
「…まァ、分からなくはねぇけどさ」
「ま、どうせ東京の大学行くんだし出ていくのが多少早まるだけで高校から東京へ行っても差程変わらなく無いかな、とも思うのよ。お陰様で家事一般は覚えたし、それにみょうじ側も喜ぶ進路ではあるワケだし?…父さんや母さんは俺の好きな事しろって言ってくれるけどさ、まぁ御恩はあるから」
「ーーお前、医者に成るんで良いの?」
「その辺は構わないよ」
「まぁ、キチンと真剣に向き合ってお前の言葉でなまえを納得させろ。いいな?」
「ウッス。…不本意ながら泣かせちゃうかも」
「任せろよ。その時は俺の出番だろ?」
「そういうのをさらっと言うからカッコイイんだよね」
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