よろず部屋
□UNIT
2ページ/5ページ
「…おい、エレン。手前今、ヒマなのか?」
「見ての通り、リヴァイさんの唄が出来るの待ってますけど?」
「…ヒマなんだな?」
「ヒマじゃないです」
「ヒマなんだな?」
「…………ヒマです…」
「……ま、良い。手前ちょっと手伝え」
「はい?」
「音出すから、それ聴いて頭に浮かんだ単語適当に並べろ。意味や繋がりは考えなくて良い。浮かぶ端から言って行け」
「…難しそうですね」
「だから難しい事しろって言ってんじゃねぇんだよ。ちっとやってみるぞ、オラ」
「えと、光」
「……」
「…翼、…蒼、…翔ぶ、…痛い、…否定、…憧れ、…翼、あれ?同じ事言った?」
「良い。手抜きで言ったんなら許さねぇが、そう浮かんだんだろ。続けるぞ」
「はい、えと、自由」
「えと、とか入れるな、うぜえ」
「はい、…扉、…壊す、…向こう、…走る、…舞う、…闘う、…両手、…伸ばす、…墜ちる、…伸ばす、…生き…る…?あれ?」
「ち、…悪ぃ、今のは俺の失敗だ。ちょっと待て。……、っと、…じゃねぇ…、ん、そか、そだ、………よし。エレン、続きだ」
「…生きろ、…眩しい、…腕、…眼、…熱、…、…、…、」
「……と、んなモンか。よし、出来たぞ、エレン、歌ってみろ」
「…え?え!?曲ってこんな早く出来上がる物なんですか!?」
「“上がって”はいねーよ。これからお前で調整するんじゃねぇか。ついでに言うが、いっつもこんなだと思うなよ。3徹しても1フレーズも出ねぇ時もあるんだからな。…そん時は流石にビルの屋上から飛び降りたくなるが」
「止めて下さいよ!」
「そん時は、だ。今じゃねえ。それより、手前、コレ出来るの待ってたんじゃねえのか?歌いたくねぇか?」
「歌う!歌います!!見せて下さい!!」
「………良い食い付きだな。…読めるか?」
「まだ完璧には……って、うわ、っ〜〜っっ」
「おい!?読めねぇならそう言え。つか、何うずくまってやがる?拾い喰いでもしたのか?」
「〜〜〜っっっ」
「おい!?大丈夫か!?」
「〜〜…ぃ、……す」
「あん?」
「…っみ、ません…っ、大丈夫、です…。アンタの…リヴァイさんの唄を、誰よりも先に俺が歌えるんだと思ったら嬉し過ぎて…っ、……俺、今、幸せ過ぎる…!!」
「……………クソ詰まんない事で感激してんじゃねえよ」
「全然!クソ詰まんなく無いですよ!」
「…ついこないだ迄、俺の存在すら知らなかったガキに言われてもな」
「や!いや!それは、だって!その、あの」
「煩え、ゴチャゴチャ言ってねぇで歌え。それ以上モタモタしてんなら、コレ、事務所持ってって適当な奴に歌わせるぞ」
「だ!ダメです!!嫌です!!絶対ダメです!!」
「だから煩ぇって」
「リヴァイさんの唄は全部!俺が歌うんですから!!」
「…………………」
「あ!う、歌います!えっと」
「……最初はこの音だ」
「はい!行きます」
「(……クソガキが。動揺が声に出捲りだ。外すな、コラ。……クソ、また外した。削ぐぞ、このガキ。そんなんでよくも俺の曲全部歌うなんざ言えたモンだな。言っとくが、今の手前の音域じゃ到底歌えないヤツもあるんだがな)」
「(……けど、まあ……)」
「(…これから歌わせてやるよ、存分に、な)」