よろず部屋

□UNIT
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「…おい、エレン。手前今、ヒマなのか?」

「見ての通り、リヴァイさんの唄が出来るの待ってますけど?」

「…ヒマなんだな?」

「ヒマじゃないです」

「ヒマなんだな?」

「…………ヒマです…」

「……ま、良い。手前ちょっと手伝え」

「はい?」

「音出すから、それ聴いて頭に浮かんだ単語適当に並べろ。意味や繋がりは考えなくて良い。浮かぶ端から言って行け」

「…難しそうですね」

「だから難しい事しろって言ってんじゃねぇんだよ。ちっとやってみるぞ、オラ」

「えと、光」

「……」

「…翼、…蒼、…翔ぶ、…痛い、…否定、…憧れ、…翼、あれ?同じ事言った?」

「良い。手抜きで言ったんなら許さねぇが、そう浮かんだんだろ。続けるぞ」

「はい、えと、自由」

「えと、とか入れるな、うぜえ」

「はい、…扉、…壊す、…向こう、…走る、…舞う、…闘う、…両手、…伸ばす、…墜ちる、…伸ばす、…生き…る…?あれ?」

「ち、…悪ぃ、今のは俺の失敗だ。ちょっと待て。……、っと、…じゃねぇ…、ん、そか、そだ、………よし。エレン、続きだ」

「…生きろ、…眩しい、…腕、…眼、…熱、…、…、…、」



「……と、んなモンか。よし、出来たぞ、エレン、歌ってみろ」

「…え?え!?曲ってこんな早く出来上がる物なんですか!?」

「“上がって”はいねーよ。これからお前で調整するんじゃねぇか。ついでに言うが、いっつもこんなだと思うなよ。3徹しても1フレーズも出ねぇ時もあるんだからな。…そん時は流石にビルの屋上から飛び降りたくなるが」

「止めて下さいよ!」

「そん時は、だ。今じゃねえ。それより、手前、コレ出来るの待ってたんじゃねえのか?歌いたくねぇか?」

「歌う!歌います!!見せて下さい!!」

「………良い食い付きだな。…読めるか?」

「まだ完璧には……って、うわ、っ〜〜っっ」

「おい!?読めねぇならそう言え。つか、何うずくまってやがる?拾い喰いでもしたのか?」

「〜〜〜っっっ」

「おい!?大丈夫か!?」

「〜〜…ぃ、……す」

「あん?」

「…っみ、ません…っ、大丈夫、です…。アンタの…リヴァイさんの唄を、誰よりも先に俺が歌えるんだと思ったら嬉し過ぎて…っ、……俺、今、幸せ過ぎる…!!」

「……………クソ詰まんない事で感激してんじゃねえよ」

「全然!クソ詰まんなく無いですよ!」

「…ついこないだ迄、俺の存在すら知らなかったガキに言われてもな」

「や!いや!それは、だって!その、あの」

「煩え、ゴチャゴチャ言ってねぇで歌え。それ以上モタモタしてんなら、コレ、事務所持ってって適当な奴に歌わせるぞ」

「だ!ダメです!!嫌です!!絶対ダメです!!」

「だから煩ぇって」

「リヴァイさんの唄は全部!俺が歌うんですから!!」

「…………………」

「あ!う、歌います!えっと」

「……最初はこの音だ」

「はい!行きます」














「(……クソガキが。動揺が声に出捲りだ。外すな、コラ。……クソ、また外した。削ぐぞ、このガキ。そんなんでよくも俺の曲全部歌うなんざ言えたモンだな。言っとくが、今の手前の音域じゃ到底歌えないヤツもあるんだがな)」

「(……けど、まあ……)」

「(…これから歌わせてやるよ、存分に、な)」
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