よろず部屋

□三千世界の山口を愛し。
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山口忠は、1〜2ヶ月に一度位の頻度で変身する。変身と言っても、勿論、腰に巻いた謎のベルトに携帯やらカードやらを差したり通したりして、「変身!!」と宣言してから行うアレでは無い。読んで字の如く、身体が変わるのだ。

本人の言葉が嘘でなければ(まあ、嘘吐く理由も無いから本当の事だろうケド)、初めてそうなったのは、僕と山口が大学進学を期に、ルームシェアと云う名分の同棲を始めてから2ヶ月位経った、とある朝だった。

……うん、アレは掛け値無しにビックリしたね。

僕と山口は、ルームシェアって名目上、別々に部屋が有って、其処にベッドも一つづつ有るんだけど、お互いに用事が無い限り、僕のベッドで二人で寝る事にしてた。(因みに、今夜は僕のレポートが混んで来てたので別々にして貰っていた)

――2年前の、その朝。普段通り目覚めた僕は、隣に見知らぬ女が寝てるのを発見した。

身に覚えの無い男だったら普通に衝撃だよね。まあ、すぐに山口だって判明したし、その時の騒動は割愛しますが。

最初の一騒動が段落し、溜め息を吐いた僕の前で真っ青になった山口はふらりと立ち上がった。

「病院…行って来る…!」

女性の声で呟くようにそう言った山口が、財布と保険証だけ持って出て行こうとするのを僕は慌てて止めた。

だってさ、『本当は男なんですけど、朝起きたら女になってました』って言って、信じてくれる医者が果たして居ると思う?間違い無く精神科か心療科に回されるだろうし(そもそも山口は何科を受診するつもりだったんだろうか?)、もし仮に信じられたら、その時はもっと大事になりそうだ。

「何言ってんの!?まず落ち着きなよって」「だって、ツッキー、こんなの、気持ち悪いよね!?」「そんな事言ってないでしょ!?」「でも…っ」「いいからまず僕に確かめさせなよ」……と云う、何かデジャヴ感満載の台詞のままに、色々と山口の身体(女体)を確かめて……そして、僕は、女性になった山口を大変美味しく頂きました。

ええ、美味しゅう御座いましたとも!

顔を真っ赤にしてひんひん泣く山口はいつも通りに可愛い上に、たぷたぷ揺れる乳房はフカフカだし、何処もかしこも柔らかい上に頼りなくて。それでいて、いつものように僕に縋り付いて来るんだから堪んなかった。

「赤ちゃん出来ちゃうよぉ…っ」なんて言いながら、うねるようにきゅむきゅむ僕を締め付けて来るもんだから、我慢出来ないでしょう!?男として!するでしょう!?種付けを!!……ハイ、たっぷりナマで出させて頂きました。

……いや、スミマセン。流石に一時の激情が過ぎ去って反省した僕が、水垢離と云う名の冷水シャワーの下で固めた今後の覚悟と、山口への謝罪を胸に、部屋に戻った時、当の本人は何だか平和そうにスヨスヨと僕のベッドで眠り扱けていたのでした……元の、男に戻った姿で。

それが最初。

そしてまさかと思っていた“次”があったのが、その約1ヶ月後。

あれは…親戚の不幸があって、3泊4日で実家に戻ってた僕が帰宅した時だ。

「山口…?居ないの?」

部屋の鍵は掛かってた。けれど、玄関に山口の靴は揃えて在ったし、何より室内に人の気配があった。ピッタリとカーテンが閉じられた薄暗い室内の中を探せば、リビングの隅で山口はシクシクと泣いて居た。

その頭部からにょっきりと生えた真っ白い兎耳が、山口の嗚咽に合わせて揺れ動いた。

――兎は発情期が無いから、バニーガールには、『いつでもOKよ』ってイミがあるって何処かで聞いた事あったっけ……。

薄ぼんやりとそんな事を思い出した僕を誰か責めて欲しい。

……………うん。ゴチソウサマデシタ。

兎の尻尾って、巻いてある状態なんだって、引っ張ったら細く伸びるんだって、僕はこの時初めて知りました。詳細は必要デスカ?有料になりますがヨロシイデショウカ?(嘘だよ)

そして次は、10歳位の、出会った頃位の少年。次は、今度は貧乳の女性。と云う具合に、実に節操の無い山口の変化に対面し、僕はその殆どを堪能させて頂いた。が、今回の、一つ前の時は若干事情が違った。

あろう事か、山口は臨月間近であろう腹を抱えた妊婦になったのだ。胸が張ると言うので揉んでみたら、母乳を出した。僕が興奮しない訳が無い。ついいつもの流れで押し倒そうとしたら、嘗て無い位の山口の抵抗にあった。曰わく。

「産まれちゃったらどうするんだよ!?」

……ああ。本当かどうかは判らないけど、女の人って感じると子宮が下がって来るんだっけ。それが妊娠し易さにも繋がってるらしいけれど、中に胎児が居る状態でそうなったら、そりゃ出産の心配もあるだろう、な。


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