Blackish Dance

□#0004
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 部屋に戻ると、アレンが晩ご飯を用意していた。手料理なんて何年振りだろうか。ヒデは有難くいただく事にした。
 ご飯を食べながら考える。
 そういえば、この村には外灯が無かった。台所もカマドだし、水も何処からか汲んで来ている様だった。
「あのー、アレンさん」
「どうしました?」
「ここって、電気とかガスとかないんですか?」
「そうですね、電気と水は多少通っていますが、ガスは通っていません」
 何かを書いている手を止めずに、アレンは答える。
「そうなんですか」
「残念ながら、この宿(いえ)には電気が通っていないので、テレビもクーラーも電話もありません」
「それは大丈夫です。普段も使わなかったんで。でも、仕事するのに必要なんじゃ?」
「もちろん必要です。だからケイとイチの宿にはパソコンが有ります」
「ケイとイチ……?」
「既死軍の諜報機関です。あとミヤの宿にも有りますね。ミヤは秘書ですから」
「誰のですか?」
「葉山総壱朗大臣です」
「え!? 葉山総壱朗って……法務省の!?」
「あれ? 言いませんでしたか?」
 アレンは手を止め、顔をあげる。
「この既死軍は、法務省の直轄ですよ?」
「は、初耳、です」
「帝国軍は帝国防衛省の管轄なんですけどね」
「何で違うんですか? やってる事はほとんど同じだと思うんですけど」
「私にはよく分かりません。そこまで考えた事がありませんから。ケイかミヤに訊けばきっと分かりますよ」
 そう言うと、また手が動きだした。
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