Blackish Dance

□#0009
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 ヤンと練習を始めてから早三時間。教え方が上手いのか、飲み込みが早いのか、だいぶ様になってきた。射撃場にはもう二人しか居なかった。
「そろそろ終わるか。暗くなってきたしな」
 ヤンも流石に疲れたらしくその場に座った。ヒデも撃つ手を止め座り込んだ。
「そうだ、手入れ。やっとかねぇと」
 ヤンは自分の銃をバラしながらヒデを促す。
「型(カタ)は一緒だからな。お前も真似してやってみろ」
 ヤンの手入れはシーナが教えたものより丁寧で早かった。必死に真似るヒデを横目に、ヤンは早々と片付けを終えた。そして、お前さぁ、シド苦手だろと、図星をついてきた。
 これは素直に答えて良いものなのか。
「別に本人に言ったりしねぇって」
 悩むヒデを見て笑った。
「大概最初は苦手なもんだし。ただアイツは大目に見てくれ。可哀相なヤツなんだ」
 と、少し寂しそうなした顔をした。ヒデからすれば、何処が可哀相なんだ! と言いたい所ではある。
「いつも独りだし。もうちょっと俺たちを頼っても良いんだよーみたいな?」
「でも、自分から遠ざけてるんじゃないの?」
「そうなんだけどさ」
 ヤンはそのまま仰向けに寝転がった。
「俺は……」
 確かチャコが言っていた。『ヤンはシドに近付きすぎた』と。
「シドの為に生きてるんだ。そしていつかシドの為に死ぬ。守りたいんだ」
「どうして? 何でそこまで傾向できるの?」
「シドが生きて良いと言ってくれた。だから俺が生きるのはシドの為、最期もシドの為に。そしたらさ――」

――笑って死ねるかなって
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