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□紅魔館へ
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チルノは、焦っていた。


早くレミリアに逢いたい。

早く、レミリアに逢ってこの胸の疼きが何なのか、教えて欲しい。

このもどかしさから、解き放って欲しい。


それだけを想って、その身をレミリアの住む紅魔館へと急がせる。

彼女は聡明だ。きっと、答えをくれる。
そう信じて、チルノは目指す。

そこに疑念などある筈もなく。
盲目的なまでにレミリアを信頼していた。

知り合ったのは、ほんの数日前だと言うのに。
だが、それすらもチルノは疑問に思わなかった。


(レミリア・・・!)


チルノを動かしているもの、それは、焦りにも似た何かだった。















数十分後、チルノの眼前には大きな館が見えていた。

その館は大きく、見るものを威圧する雰囲気をしていた。

(ここが紅魔館なのかな…)

チルノは館に続く門の前に降り立つと、辺りを見回した。
誰かが居れば、わかるかもしれない。そう思ったからだ。

だが、誰も居ない。門の所なら誰か居ると思って降り立ったのだが、これでは意味が無い。

そう、思った時だった。


「貴女、ここに何か用?」


「!?」


突然後ろから声をかけられ、チルノはビクリと体をこわばらせた。
振り返ると不思議そうな顔をした栗色の髪をした背の高い女性が立っていた。


「あれ?よく見たら妖精…?」


声を掛けてきた女性は小さく首を捻りながらチルノを見た。


「妖精がこんな所に何か用事?」


「あ、あの…」


「?」


「紅魔館って、ここ?」


「そうだけど…」


「あたい、レミリアに遊びに来なさいって言われて…」


「お嬢様に?」
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