本棚
□二人
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我ながら、なんて辛抱のないと思う。
紅魔の主として接しよう、そう決めたばかりなのに。
でも、彼女が悪いんだ。
そんな、辛そうな、無垢な瞳で私を見るから。
そんな、蕩けてしまうような言葉を口にしてしまうから。
「れ、レミリア…?」
「……独り占めしたくなってしまうじゃない」
チルノに聞こえるか、聞こえないかギリギリの声で呟く。
彼女は相変わらず状況を理解していないのか、不思議そうな顔で私を見ている。
そんな彼女がたまらなく愛しくて、右手で彼女の顎を持った。
「チルノ」
「ふぇ…?」
「先に謝っておくわね。ごめんなさい」
それだけ告げて、私は……
チルノの瑞々しい果実のような唇に、そっと己の唇を重ねたのだった。
―続く―