本棚
□二人
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本当の事を言えば、今私の膝の上で微笑みを浮かべている氷精は此処には来ないと思っていた。
初めて会った時、あの時、多少苛ついていたのもあったがあまりに自分勝手に振る舞ったからだ。
「ねぇ、チルノ」
「何?レミリア」
ニコ、とチルノが人懐っこい笑みを浮かべて私を見る。
あぁもう、どうしてそんな顔をしてこっちを見るのかしら。
今でも欲望を抑えるのに必死だと言うのに、そんな可愛い顔をされると歯止めが利かなくなりそう。
結論から述べるなら、私はこの氷精を好きになってしまった。
何故か、それは私自身にも分からない。
だけど、初めて会ってから私の中でチルノを求める気持ちが強くなっていくのを感じた。
「話かけておいて何も言わないなんて酷いんじゃない?」
「あぁ…ごめんなさいチルノ」
少し拗ねたような顔でチルノが私を見上げて。
私はそんな顔を見ても可愛いとしか思えなくて、苦笑を浮かべる。
そんな私の心情など知らずに、チルノはただ私からの言葉を待っていた。
「……チルノは、何故此処に来てくれたのかしら?」
「え…?」
チルノは目をぱちぱちとさせながら心底意外だと言わんばかりの顔をして首を傾げた。
「だって…レミリアこの前遊びに来ていいって言ったよね?」
「えぇ、言ったわね。でも私はあの時チルノにちょっと酷い事をしちゃったでしょ?」
「………あっ!」
……忘れてたのね。でもまぁ、この子らしいと言えばこの子らしいと思うけど。
思わずフッ、と吹き出してしまいながら、チルノを頭を優しく撫でると、チルノは気持ち良さそうに目を細めた。