精神公演義
□第3話
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若白髪は商店街のある土産物屋にデリオを案内する。
若白髪「着いたぜ。おれァここで働いてんだ。」
土産物屋“芝政商店”。小さいが、風情のある店である。旅提灯やペナント、小太陽を象ったキーホルダーと、芝那土産を取り扱っている。
汚らしいおじさんが店番をしていた。
おっさん「テツキ、お前どこをほっつき歩いとったんだ。」
若白髪「んん?人助けにな。」
デリオ「こんにちは。」
若白髪の仕事仲間だろうか、デリオは彼に挨拶して奥に入っていく。
若白髪「あがれよ。」
1階は店、2・3階は住居になっているらしい。店奥のカウンター内の階段を上る。
おっさん「何だ、その娘は?」
若白髪「四天王の犠牲者。」
おっさん「今度は何やらかしたんだ?」
若白髪「食い逃げ…いやたかりか。」
おっさん「困ったもんだのー、あいつらにも。」
若白髪「もう慣れてるよ…。」
デリオと若白髪は家の居間に入る。
デリオ「さっきの人は?」
若白髪「ウチの店長。おれはここに奉公に来てるから、ここはおっさんの家。住み込みで働いてんだ、おれは。あのおっさんは保護者代わりでもあるな。」
若白髪はお茶を汲んできて、デリオに出した。
若白髪「自己紹介が遅れた。おれは霧崎テツキ。師団“デリ”の総長をやっている。見たとは思うが、おれもラーメン屋さんと同じく、能力者だ。お嬢ちゃんは?」
デリオ「えと、デリオです。宜しく、テツキ。」
師団とは能力者の作る団体の総称である。
若白髪改めテツキ「さっきはうちのバカ共が粗相やらかしたようで、悪かった。あいつらはウチのデリのメンバーなんだ。アホ揃いで、総長のおれも苦労してんだ。」
デリオ「さっきの4人だよね。ラーメン屋じゃ霧くんにお金持ってきて貰おうって言ってたけど。」
テツキ「見捨ててたな、そりゃ!…あいつらは中学の頃の同期でな、卒業してからはこの店で4人揃ってバイトよ。バカすぎて高校行けねーんだ。あ、おれは違うぜ!?店の経営とか教わりたいから敢えて進学しなかっただけで…」
抹茶髪「バカに変わりはないよね?」
4人組が部屋に現れた。
金髪男「おいコラ小娘、てめー何ウチの店に上がり込んでお茶してやがる!?」
デリオ「お邪魔してます…じゃなくて!よくもわたしを…」
抹茶髪「短気は損気。済んだことはいいじゃねーか。にゃはは。」
テツキ「てめーら謝れよデリオに。…こいつらは4人まとめて四天王。」
抹茶髪「霧くん、オレ達にもお茶。」
テツキ「テメーで淹れな!話の途中!空気読め!」
抹茶髪「あ、でもトイレ行きたいわ。ならばいっそ湯のみにおしっこ…」
テツキ「汚ねェこと考えんなや!何がしてェかわかんねーし!飲んでる人の前でばっちいこと言わないっ!」
抹茶色の髪の男は、頭を掻きながら便所へ向かう。
テツキ「デリオ、今のがスギヤだ。バカな上に最低、しかも下品ときたダメ人間だ。」
ちび女「見て見て霧くん!旗!お子様セットについてんだぜィ!」
テツキ「何でんなもん取ってきた?ガキが!お子様セットて、ホントにテメーはおれとタメか!?」
ちび女「霧くんはまだ誕生日来てないから16歳だよね?あたしゃもう17歳なの。大人なの!」
テツキ「おれももうすぐ17ですゥ!こいつはミズナな。チビでガキで勿論バカだが、一応おれや他の四天王と同い年だ。」
この女、140cmあるかないかの低身長である。