精神公演義第1巻(旧)
□第1話
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ここ、“小太陽”は芝那国の誇る2大観光地の一角である。旅行のシーズンを過ぎた11月下旬のこの日、風変わりな格好の2人組が観光客に混じってこの小太陽を訪れていた。
片方は角刈りで上下ジャージを着た大男、もう片方は色鮮やかなテンガロンハットをかぶった小柄な男である。
角刈り「こいつが芝那の小太陽かー。立派なもんだのー。」
テンガロン「小池さん、我らDBM団は芝那進出のためここにに来たんじゃなかったんですかい?」
角刈り改め小池「うるせえ!ウェンダよ、ちっとぐらい行楽したっていいだろーがよ!ぷんぷん!」
テンガロン改めウェンダ「へいへい。まあ元から観光目的だったからいいけどよ。」
暫く観光気分を楽しんでいた小池とウェンダ。しかしそんな2人を何時からであろう、尾行している一団がいた。男が2人、女1人の3人組である。
金髪の男「あいつか、隣の瑠璃原国で噂の小池拳悟ってのは。」
泥棒髭「じゃねーの?霧くんに知らせに行かなきゃな。」
ちびな女「てかさ、スギヤは一体何処へ消えたのさ?」
泥棒髭「知らねーよ。放っとけ。」
今は1人いないようなので4人組。不在者をスギヤ、ちび女をミズナ、泥棒髭をアツシ、金髪をコウジという。
アツシ「ミズナよ、お前は急いで霧くんを呼んで来い。寄り道すんじゃねーぞ。」
ミズナ「合点!」
コウジ「そしておれ達ゃこのまま様子見というわけか。」
アツシ「は?何言ってんのお前?バカじゃん?殴りかかるに決まってんだろーが!」
コウジ「ええっ!?」
ミズナ「んじゃお二方!ばいびー!」
場を去るミズナを見送った後も、温度差浮き彫りな作戦会議は続く。逃げ腰対猪突猛進の構図である。
コウジ「やめようぜあっつぁん!強えーって小池の奴きっと!見ろよあのガタイ!」
アツシ「てやんでい!やってみなけりゃわかんねーだろーよ!」
コウジ「もー、お前1人で突撃すりゃいいだろ!?おれまで巻き込まんといて頂戴!」
アツシ「何寝ぼけたこと言ってんだ?我等四天王一蓮托生!小池の野郎なんざ袋叩きだぜ!」
小池「誰が袋だって?」
いつの間にやら近くに来ていた男に、2人は凍った。
ウェンダ「何だてめーら!人のことコソコソと嗅ぎ回りやがって!」
小池「俺達が気づいてねーとでも思ってたのかよ。」
ウェンダ「ついさっき気づいたけども。」
小池「言うなや!!」