精神公演義第1巻(旧)

□第2話
1ページ/8ページ

テツキ「デリオ、か…。おれは霧崎テツキ。ずっとこの近くに住んでる。」

声の主の予想外に幼い風貌に驚きながらも、尚も平静を保つ。

声の主改めデリオ「そうか。テツキ、わたしはこの小太陽が出来た頃からここに宿ってるけど、こうやって人と接触することは本当に久しぶり。だから現代の人間がわたしを知らないのも当然。おどかしてごめんね。」

テツキ「いいよ、謝罪はコウジにでもしてやって。で、その何百年も小太陽に閉じこもってた精霊がおれに何の用だ?」

デリオ「何その閉じこもってたって失礼な言い方!精霊ってのは基本人と関わったりしないもんなの!…ところで君、能力者でしょ?しかも極念を使う。」

テツキ「ん?ああ、使うけど?」

デリオ「極念ってのは様々の術の中でもごく早い段階で普及した能力なの。わたしが生まれたときからあったから、何か懐かしくって。」

テツキ「へーそう。お前どっから生まれたの?」

デリオ「この天遁帝国(芝那国も擁する連邦国家。すなわちこの世界)の建国者である初代国王の重臣の1人、貴家幸太の術によって生まれた。この時代でも有名な人物のはずだけど?」

テツキ「貴家か。聞いたことはあるけどな。」

ポリポリと白髪頭を掻く。この男、結構世間知らずなのだ。

デリオ「本題に入ろう。君をここに呼び出したのは他でも無い、わたしの使命のため。それは“精神公”に相応しい能力者を探すこと。」

テツキ「精神公…。そいつは一体何ぞや?」

デリオ「簡単に言うなら生き神のこと。超越的な戦闘力と聖人をも凌駕する精神性を有する、絶対的な神。不老不死で恒久普遍に存在し続ける生き神が建国当初から必要とされてきた。その精神公に最も近しい能力者に、その力を与えることがわたしの授かった使命。」

テツキ「へぇー。そうかいそうかい、なるほどねぇー。」

テツキは興味深そうに話を聞く。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ