精神公演義第1巻(旧)
□第8話
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冬休みに入る。
出阿戸「光、私はこの冬季休業中にやろうと思うことがあるの。」
熊坂「なっ、何かね…?」
出阿戸「スケ番として、次代のために勢力圏を拡大しておこうと思うの!!!目標は芝那全域よ!!」
熊坂「やーめーたーまーえーーーっ!!!!」
この日、軍都国では次なる術師隊司令の後任決議が行われていた。出席者は帝国軍術師隊の1軍の能力者若干名。任命は軍総帥により行われるが、後任の決定権は術師隊に委ねられている。
円卓には6人。ラリホー=カンヅキの隣にホー・イッピー。反対隣には短髪の少女。他に男が3人いる。
ラリホーの一言で皆が騒然とする。
ホー・イッピー「………!?」
短髪女「………。」
優男「何と…。」
ラリホー「もう一度言う。我が妹・イアン=カンヅキを次の司令に推薦する。」
ラリホーの隣に座る短髪の少女イアン=カンヅキは前司令の孫娘でラリホーの10歳下の妹である。テツキと同じくらいの歳であろうイアンの名が挙がったことにホー・イッピーは動揺を隠せないでいた。
ラリホー「意外そうだな、ホー・イッピー?」
ホー・イッピー「いえ…。」
優男「しかしですね、イアンは若すぎる。今確か十…」
イアン「17だ。」
ホー・イッピー「そんな歳で術師隊のトップだなんて、前例が無い。」
優男「そう。大体20代がなるものではないのですか?」
大柄な優男・アロミア=ミチルバーグがラリホーに尋ねる。
ラリホー「確かに、司令は身体的な面と実績・経験とを踏まえると20代後半から30代位が理想。前司令は異例だったが。」
ちょび髭「だがイアンは入隊も早く、経験値の面でも同年代に比べアドバンテージがある。さらに戦術に長けていて冷静な判断が出来る。司令として必要な資質は揃っている。」
ホー・イッピー「正論だが、資質なら貴方も揃っているのではないですか?イルハン=クルセイン?」
ホー・イッピーがちょび髭の男・イルハン=クルセインに問い返す。だが答えたのは彼でなくラリホーであった。
ラリホー「クルセインと私と…イアンとで既に話はつけているのだ。次の司令は幹槻氏のイアンがよいとな。」
ホー・イッピー「……!?」
ちょび髭改めクルセイン「我らが帝国軍は幹槻氏の祖・ルイ=カンヅキを初代総帥とする組織。その影響で今なお軍内における幹槻氏の発言力は慣例的に強い。…術師隊の立場の向上を考えるなら、カンヅキ姓を持つ者だと我々にとっても有益だと考えるが…?!」
優男改めミチルバーグ「まぁ貴方が師匠のご子息である幹槻家の娘を推したいのも分かりますがね…。」