精神公演義第1巻(旧)
□第10話
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この壮観にテツキらは度肝を抜く。
大蜘蛛「儂は連合の頭のジジイじゃ。今は術で温蜘蛛に化けとるが、人間じゃよ。」
ラーイー「温蜘蛛って種類なんだ、ここのでかい蜘蛛は。」
テツキ「さっ、さいですか。おれは芝那国はデリの霧崎テツキ。他5人と共にあんたらの助太刀に参った。」
熊坂「私は熊坂。カッコいい熊坂と呼んでくれたまえ。」
ポーズをキメながら自己紹介する奴が約1名。
大蜘蛛改め爺蜘蛛「するとひいふうみ…7人か。ラーイーと儂を入れて人間9人。これで頭数としても辻斬りの一味に対抗できよう。」
ラーイー「ひとまずアジトに案内しようか。細かいことはそれからだ。」
アジトに到着した一行。テツキは改めて四天王とデリオの名、及び自分を含めた各個の能力を紹介した。
テツキ「…つーわけだ。実質のところ我がデリの戦闘員はこのおれだけだ。」
熊坂「ふっ、数だけだな。私1人だけの方がまだ戦力として上であろう。」
テツキ「まーた憎まれ口を叩きやがってからに…!」
どうどうとテツキを宥める蜘蛛達。
デリオ「蜘蛛のお爺さんの能力は蜘蛛変化、か…。具体的に何が出来るの?」
爺蜘蛛「そこいらにおる温蜘蛛と同じじゃよ。この変化の術は儂の家で飼っとった温蜘蛛が死んじまったから代わりにということで身に付けたものじゃ。戦力としては弱いのじゃ。」
熊坂「温蜘蛛は色々出来ると聞いたが?」
爺蜘蛛「如何にも。糸を吐いて足を止めたり竹から竹へ橋を渡したり、な。一匹一匹は非力じゃがこの数が集まればそれなりの力にはなるじゃろうて。」
爺蜘蛛の後ろには数十匹はいようかという温蜘蛛。この辺りの民家から選りすぐりをかき集めた精鋭達である。
爺蜘蛛「しかしあくまで蜘蛛は蜘蛛。過信は禁物じゃて。」
コウジ「てか、この季節大丈夫なのか虫?冬だぞ?!」
ラーイー「その点なら心配無い。ちょっと温蜘蛛を触ってみてくれよ。」
コウジ「?」
言われたとおり温蜘蛛を触ってみると、人肌ほどの温かさがあった。
コウジ「温かっ?虫かこいつ?!」
ラーイー「温蜘蛛は生物学的に分類が難しい一種だ。何てったって節足動物でありながら体温が外気に左右されず常に一定だからね。」
他の皆も恐る恐る蜘蛛を触ってみる。
スギヤ「本当だ。ふかふかじゃい〜。不思議な生き物がいたもんだな。」
デリオ「つまるところが恒温動物?」
ラーイー「ああ。体毛もあって寒さには強いよこいつら。虫と哺乳類のあいのこみたいに考えてもらえればいい。」
テツキ「まぁ蜘蛛の神秘なんてどうでもいいよ。ラーイー、肝心のお前の能力はどうなんだ?」
そう訊かれるとラーイーは銃を握って立ち上がる。
ラーイー「見せようか?ついて来てくれ。」