精神公演義
□第4話
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スギヤ「なぁデリオ…やっぱ今回はお前見てるだけでいいわ。こいつ相手ならオレ達だけでも何とかなりそうな気してきたし。」
デリオ「え?うん、そうだね。」
コウジ「最初見た時は強そうに見えたんだけどな…拍子抜けもいいとこだぜ。霧くん抜きでも普通に倒せそうだ。」
アツシ「俺達のこの反応を見て尚自信を失わない所が痛ェよ…このままじゃ店の営業の邪魔だしな、早いとこ追っ払っちまった方が得策だ。」
少しはやる気を出した四天王。デリオは彼らに内股野郎迎撃を任せることにした。周囲にはぽつぽつとギャラリーができ始めている。
五刀斎「おや、やる気かね?俺のこの武装を見て尚自信を失わない所が痛ェよ…。」
ミズナ「うわ、彼性格的にも痛いね!」
気を取り直して四天王も戦闘モードに入る。彼らもデリを構成する能力者、それも立場としては戦闘員である。総長霧崎テツキに及ばないと自負してはいるようだが、それでも彼らもそれなりに戦える域にはいないといけない。
スギヤ「さぁて、やろうか。先鋒は…?」
アツシ「俺に任せろ!うおおおおおおお!!」
熱血バカ一代、アツシが拳を握りしめて五刀斎へと突撃する。どうやら彼は、接近戦重視のインファイターのようだ。
五刀斎「せいっ!」
[シャキィン!]
アツシ「うおっ?!」
五刀斎は両手の剣2本で攻勢に来たアツシを迎え撃つ。股の物は足枷でしかないが、上2本だけなら五刀斎も普通に手強い。
アツシ「リーチじゃ負けてるが、幾らでも打つ手はある!」
徒手空拳のアツシよりは間合いにおいて勝っているのは確か。但し特に移動力に致命的な欠点を持つ五刀斎である。アツシが背後を取ったり離れた所から物をぶつけたりすれば、その弱点は露になる。そんな中で彼が取った手は、必殺技の披露であった。
アツシ「デリオ、見せてやるよ!この俺の必殺技!!」
デリオ「!」
アツシは両手の平の付け根の部分を合わせ、十指で砲口を模した手の形を作り、五刀斎へと向けた。
後ろから見守るデリオは括目する。
五刀斎「!?」
アツシ「ふぁいやぁ〜!」
[ポゥっ…]
奥義“アツシファイヤー”。能力で火炎を発生させ、敵を攻撃する技である。説明だけ聞けばド派手な大技に感じられるかも知れないが、この奥義には火を見るより明らかな欠陥が一つ存在した。火力が無さすぎることである。
デリオ「火ィちっさ!!」
アツシが発した火は、100円ライター程度の細やかなものであった。
五刀斎「大人をからかっちゃいけないよ。」
ガチガチにビビッて不器用そうに両腕で反射的に防御姿勢を取っていた五刀斎は、さも何事もなかったかのようにアツシに攻撃を加える。とは言っても、無理に足装備の刀を使おうとしているため、アツシは数歩の後ずさりで難なく躱す。
アツシ「ふぁいやぁ!ふぁいやぁ!」
デリオ「それはもういいから!わかったから!」
執拗に火炎を使い続けるが、五刀斎に届かないことはもはや誰の目にも疑いようはない。