精神公演義

□第7話
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6人はレトの部屋の前まで来た。いわゆる開かずの間である。

テツキ「ここがレトの部屋だ。おいレト、いんだろ?開けてくれ。デリオがいっぺんお前に会いたいってよ。」

[しーん]

返事が無い。部屋の明かりはついているので、無人というわけではないのだが。

ミズナ「予想通り、ナリっ。」

テツキ「仕方ない奴だな…。そうだデリオ、この部屋は元々一郎の一人息子が使ってたって話だけどな。」

デリオ「へー、一郎の息子さん。今どこにいるの?」

テツキ「さーな。一郎もそこらへんはあんまり語りたがらねーんだ。あんな奴でも触れてほしくない事もあるんだろうよ。おれの方から聞くのもデリカシーねェしな。」

デリオ「ふーん。」

話が逸れつつあるが、その間も四天王はレト説得に尽力していた。

ミズナ「開けゴマー!」

部屋の前で幼稚な呪文を唱えるミズナ。当然反応などあるはずもなく、場は白けるのみである。

コウジ「そんなんで開けるガキがいてたまるかっ!代われ。」

先鋒・ミズナの失敗を受け、次鋒・コウジが部屋の前に進み出る。

コウジ「おれに任せろ!これならどうだ!?下敷きスラーッシュ!」

コウジはズボンの背側から黄色い下敷きを取り出し、戸の隙間に差し込んだ。

コウジ「スラーッシュ!スラーッシュ!」

ミズナ「どっちがガキだよ…。」

何度か下敷きをそのままの状態で動かしてみるが、当然ながら何の意味もない。

[ぐいっ]

コウジ「およっ?!」

よく意図がわからない行動を繰り返していたコウジの下敷きが、不意に戸の裏側にいるであろう人物に奪い取られた。

コウジ「レトー!下敷き返せよー!」

まァレトの存在を明確に確認できたという点では、コウジの奇行も全くの無駄というわけでもなかったろう。スギヤはコウジの肩に手を置いて語りかける。

スギヤ「やはりコウジくんでは力不足か。バカすぎて笑えたよ。代われ。」

スギヤは一枚の紙状のものを、戸の間から差し込み入れた。

スギヤ「レトやーい!この前借りてたエロ本の切り抜き返すよー!レトお勧めのエロ本ー!」

扉の向こう「貸した覚えねェし!!持ってもねェし!やめろお前オレのイメージ壊れるだろが!!変な印象持たれたらどうすんだ?!」

ミズナ「おっ!」

扉の向こう側から、返答…というか必死のツッコミが帰ってきた。本の切り抜きの方は何故か帰ってこないが…。

スギヤ「おら見ろ!聞いたろデリオ?今の声がレトだよ。おい、そろそろ開けてくれよ。」

デリオ「エロ本…。」

レトの心配もむなしく、デリオはレトに対しちょっぴり変な印象を持ってしまった。

アツシ「なかなかいい線いってるが、まだあと一押し足りねェな。こっからは真打の俺の出番だ。代われ。」

アツシがスギヤに代わって扉の前に出る。
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