精神公演義第1巻(旧)

□第3話
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道を教えると女は慎ましやかに礼を言い、バイクで場を去っていった。

一郎「何でい?急に現れたと思ったら、『お前に訊いてはおらぬ!』だってよ!年上に対して失礼な…。」

テツキ(やっぱバイクだしでかい音出たわな…ならなんで最初はおれ達2人に察されずに後ろへ…?!)

一郎「おい、聞いてんのかテツキ?」

テツキ「ん?…一郎さんよ、あんた、あの人がいつの間に後ろに来たか分かるかい?」

一郎「うんにゃ、全く。よそ見してたわけじゃねーのになー。不思議な事っちゃ。」

テツキ(やっぱりか…。何らかの術を使ったんだろうなきっと。能力者のお姉さんの悪戯ってとこかな?)

一郎「しっかしよー、テツキよ。」

テツキ「何だ?」

一郎「美人だったなー、さっきの。」

テツキ「………。」

頬を赤らめるテツキ。実は彼も彼女を一目見てそう思ったわけだが、四天王だけならまだしも一郎にまで弄られたくない為黙っていたのであった。が、

一郎「あんなに道案内で噛みまくってる同僚なんて、長くこの仕事をやってるがお前が初めてだぞ。さては…」

テツキ「な!!?ばっ、ちょっ、おまっ、そんなわけ無ぇだろバカ!!アホ!!月面フェイス!!!」

結局弄られる羽目になったのであった。

一郎「ははぁ、この頑なな否定を見るとお前さん…」

テツキ「うっせ!!その先を言ったらただじゃ置かねーぞ!!ふー!!」

テツキの紅潮した顔は、その若白髪と相まって南米はアマゾンに棲息するシロウアカリのようになっていた。

そんな彼を目にし一郎はさらに調子に乗り出す。

一郎「名前だけでも聞いとけば良かったなぁー。この霧崎テツキ君に遂に想い人が…」

[どごほーんっ]

一郎「がぺっ…!?」

テツキの怒極込め鉄鎚が一郎の頭上から振り下ろされ、一郎は首から下が地面に埋まった。

テツキ「おれ、もう交代の時間だから!!!」

テツキは怒って場を去っていった。

暫くした後、交代した警備員と数人の観光客が首だけの人間を見て大いにびっくりしたという。
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