幸せ家族計画!(刹那♀化)

□WORRY BOX 5:POTATO cooking
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『WORRY BOX 5:POTATO cooking』



「あ〜…疲れた。サッサと帰って刹那の顔見て癒されるとすっかぁ…」

ロックオンは某有名モデルの写真集撮影のヘアメイクの仕事の為、一週間の泊まりがけの出張に出ていた。

刹那が鬱陶しがる程こまめに連絡を取ってはいたが、やはり実物に触れられないのは耐え難く、打ち上げの参加を断りロケ先で購入した沢山のお土産をトランクに押し込むと、可愛い婚約者の待つマンションへと車を飛ばしたのだった。


しかし。


マンションに到着しエレベーターを降りたロックオンの目に飛び込んできたのは、買い物帰りらしい刹那と別の少年の姿。

「あれは確か…お隣さんか…?」

思わず柱の影にとっさに隠れてしまったロックオンは買い物帰りに偶然出会したのだろうと判断しようとしたが、2人はそのまま刹那の部屋へと入っていってしまい。


「…」


刹那が婚約者の留守中に他の男を部屋に招き入れる現場を目撃してしまったロックオンの心中は穏やかではなく、そのショックの大きさを裏付けるように、両手に提げていた沢山の土産がドサリと音を立てて廊下に落ちる。


「せ…刹那が浮気!?いや待て…そういや、あいつはまだ男の時の感覚が抜けてない…」


そう。

男だった刹那には『女の子』としての自覚がまるで足りないのだ。

持ち前の警戒心の強さから難は逃れているが、女の子特有の愛らしさが出始めているのか近頃は街中でナンパされる事も増えているらしい。

ロックオンは暫く二人の消えた部屋を見つめいたが、おもむろに携帯を取り出すと刹那に電話を掛けた。

……疚しくなければ、嘘はつかない筈。


『ロックオン?』

「よ…よお刹那。今一人か?」
『ぁ…ああ、そうだけど。どうかしたのか?今夜帰って来るんだろ?』


返ってきた返事と声の動揺に『バレバレだ』と思わず肩を落とすも、ロックオンは尚も気付かない振りを続ける。

「…おう、気持ちとしては今すぐ刹那に逢いたいんだがな…」
『ああ…そうだな』

曖昧な返事に対して僅かに頭をもたげたのは、嫉妬による苛立ち。

『…ロックオン…?』

ふと言葉を止めたロックオンに、『どうかしたのか?』と刹那が声を掛けた。
その声にロックオンはハ…ッと我に返る。

「ああいや、何でもない。じゃあ…、なるべく早く帰る」

『ああ…わかった』


―…ピッ。


「………ハァ〜…」
通信を切ると、ロックオンは全身の力を抜いて壁にもたれ掛かった。

今すぐ自分が現れれば刹那はどの様な反応をするだろうか。
普段なら動じないだろうが、今回は嘘をついたのだ。

「…嘘をついたお仕置きはしないとなぁ」










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